2012年11月3日土曜日

アレなゲームの会(テンタクルベントー、ブックメーカー)

ボードゲームブロガーの雄にして国内有数の小箱ゲーマーであるオビ湾卿が、ほぼ毎週開催しているゲーム会、それが「ビッグバントーナメント」である。審美眼の肥えたひとびとが古今東西のハイセンスなゲームを持ち寄る、ボードゲーム版数奇者寄合と言えよう。しかし参加者の一部には悪いもののとりすぎでジャンキーと化した者もいて、「これいいでしょう」などと言いつつアレなゲームを持ってくる。果ては「どんなゲームでも持って行って良い会」などと自分勝手な解釈をし、アレどころかゲテなゲームを持ってくる。こうなれば数奇を嗜む風流さなどどこぞに吹き飛び、昭和40年代のブルーフィルム上映会のような怪しげな熱気が支配する場となりそうであるが、しかし主催者オビ湾卿の鷹揚な大陸大人的風格が、この会を清涼なものに保っているのだ。


エントリー群。アレもありゲテもあり。


テンタクルベントー(Tentacle Bento


女の子の名前は変なのが多い。

アニメ調フィギュア屋、Soda Popの新作Hentaiカードゲーム。プレイヤーの目的は「タコ足大学に忍び込んだ触手エイリアンになって、たくさんの女の子を捕まえる」こと。当初はKickstarterで資金を募っていたがあまりの下品さで追い出され、自サイトでの資金募集に切り替えた。そこまでは追っていたのだがあとはとんと噂を聞かず、空中分解したのかと思っていたら驚くことにエッセン2012に出展していた。それもたんとくおーれを擁するJapanime Gamesの隣りブースである。あちらは大人気だったが、こちらは対象年齢16歳以上ということもあってか(たぶん関係ない)、閑古鳥が鳴いていた。しかし買うべきは当然こちらだろう。

こういう絵を味わうことが主目的なゲームの場合、システムは既存のしっかりしたものから借りてきてくれる方がありがたい。へんにこねくり回されるとろくなことにならないからだ。その点たんとくおーれはうまかったんじゃないか(やったことないけど)。このゲームの基本はラミーなので、数百年の歴史が培った安定感がある。デックビルドなんて目じゃないのだ。

スートは4つ。ランクはないがスートごとに3種のカードがある。場所、シチュエーション、女の子だ。これを組み合わせて「どこで」「どんなシチュエーションで」「どの娘を」触手でつかまえましたーと出せばメルドになる。メルドのスートが同一である必要はないが、同一だとボーナス効果があったり、女の子を3枚まで同メルドに出すことができる。

紫スート2女子メルド。

付け札もできるし、捨札の下の方からカードをドローすることもできる。この場合、ドローしたカードの上に捨てられているカードがすべて手札となるが、ドローカードはただちにメルドしなければならない(メルドできないようなカードはとれない)。これは500ラミーである。ちょっと感動した。

で、ここでやめておけばそこそこ遊べるゲームだったと思うのだが、おろかにも余計なことにセットコレクションが加わっている。ゲーム終了時にメルドした娘が多いほうが勝ちというわけだ。ゲームがいつ終わるかといえば、山札から4枚のイベントカードがひかれたとき、である。

ラミーは早あがりのゲームである。手札を早くなくした方が勝ちだ。これに対してセットコレクションは手札を貯めるゲームだ。こういうのを水と油という。ふつうのラミーのつもりで手札をすべてメルドしてしまうと、あがりになるどころか、ただドローして捨てるだけの苦行時間が始まる。いちおう捨て山から複数枚拾ってただちにメルドできれば復活できるが、かなり厳しい。そこまで考えてカードマネジメントするゲームなんだよと言われればまあそうかも知れないが、知れないが……。




ブックメーカー(Bookmaker




タナカマ店長が箱のオッサン絵だけで購入した競馬ゲーム。
プレイヤーは胴元と客にわかれ、胴元はオッズを設定し、客がそれに賭ける。レースごとに胴元が交代していって、最後に一番金持ちのプレイヤーが勝ち。

ベッティングフェイズ途中のオッズ変更などいろいろあることはあるが、はっきり言って破綻している。やろうとしていることはわかるのだが、その域までいくのに100段階くらい足りない。情報の非対称性を軸にしているのに、客プレイヤーが確認できるのが全80枚中4枚、胴元が6枚で、2枚差しかない。こんなのカスみたいな誤差である。しかもラウンド中に情報が増えていくわけではない。もう超能力者でもない限り確率に頼るしかなかろう。

コンポーネントは悪くないので、これ使って別のゲーム作ればいいと思う。

ところがつまらなくはなく、それどころか始終げらげら笑いの絶えない、実に楽しいセッションだった。なんせプレイヤーの半数以上が破産したのだから。でも2回目はないね。

2012年11月2日金曜日

メイジウォーズ入門

メイジウォーズ(Mage Wars




Arcane Wondersなるパブリッシャーが今年のGenConで出したゲーム、というかこれしか出してない。出回りだしたのはエッセン直前で、渡航前にやっておきたかったのだが機会がとれなかった。

基本的には2人用ゲームで、プレイヤーは魔術師になってモンスターを召喚したり攻撃魔法や補助魔法を駆使したりなんなりして、とにかく殺し合う。最初に数百枚のカードから個人デックを構築するのだが(もちろんデフォルトカードリストもある)、そこから何枚かドローするのではなく、全部手札にする。1人のカード数=呪文数が何十にも及ぶため普通に手札として持つのは困難。そこで専用のカードアルバムが用意されている。まさに呪文書、気分は魔術師だ。……ばかですねえ。こういうのが大好きなBGGではかなりの高評価を受けているが、ファンタジーものの高評価には要注意なのだ。Defenders of the Realmを忘れるな、である(好きなひとごめんなさい)。でも買ったけど。そんなんばかり買ってる気もするけど。あ、そんなゲームにいつも付き合ってくれる皆さん、ありがとうございます。いやほんとうに。

こういうゲームは自分で呪文書を構築できるようになってからが本当に楽しくなるものなんだろうが、そこまでできるようになるまでが往々にして苦難の道だ。しかもこの手のゲームって普通はプレイ時間30分かそこらだと思うのだけど(Summoner Warsとか)、これは公称90分、BGGフォーラムでは初回は2時間以上みたほうがいいとか書いてある。ちょっと萎えていたらインスト用の入門ルールを見つけた。ルールはフルゲームと同一だが、初期体力とマナ、持ち呪文を少なくしてあり、しかも難しい効果の呪文は外してある。せっかくなので今日は入門会という位置づけとし、こちらをやることにした。つまらなかったら入門即破門だけどね。


まずはスケルトンを召喚。

ラウンドの始めにマイ呪文書から呪文を2枚選択し、裏向きに置く。これが今ラウンドで使用可能な呪文となる。そうしたら交互に1アクションずつ行なっていく。1クリーチャーを行動させることが1アクションなので、モンスターを召喚すればするほど手番が増える。そのぶんマナは減るが。魔術師自身もクリーチャーに含むが、こいつはさすがに主役なので、メイン魔法とクイック魔法の2呪文を放つことができる。だから最初に2枚をプロットするというわけ。

召喚したモンスターは、召喚呪文カードがそのままコマがわりとなってボードに配置される。魔術師もカードで、ゲームの最初からボードに置かれている。エンチャント呪文なんかもすべてボードに置かれるので、ボードの1マスはとても広い。なのでマス数はそれほど多くはない(3×4)のだけれど、ボードはとてもでかい。

呪文数はフルゲームの半分以下になったので20枚ほど。これならなんとか手で持てる。カードには消費マナや呪文種別(召喚とかエンチャントとか。装備もルール上は呪文として扱う)なんかが示されていて、ここはわかりやすい。カードテキストもけっこうあるけど、そんなに長い文章じゃないのでまあわかりやすい。問題は特殊用語で、たとえば"Burn"と書かれていたら、その効果内容はカードのどこにも書かれてはおらず、ルールブック巻末の用語集を確認するしかないのだ。そして、その特殊用語の数は100は下らない。最初のうちはカードを選んだり公開したり発動したりするたびにルールブックをぺらぺらすることになる。両プレイヤーともにルールブックを持っていることが、快適なプレイのための必須条件だ。

ところが、用語確認が滅茶苦茶めんどくさいんだろうな、と予想していたのだけれど、意外とそうでもなかったのだ。1度確認すればほぼ忘れない、簡単なものが多かったおかげである。某まげないとBGのように何度確認しても忘れてしまうのとは大違い。

入門ルールの変更点はもう1つ、マップが小さいことで、半分になる。敵陣は目の前なので、「まずは陣営をくんで右翼にうんたらを召喚し……」などとやっている暇はなく、俺についてこいとばかりに2、3匹のモンスターを引き連れて突っ込んでいく。わたしの担当キャラクターのWarlockが戦闘特化キャラだったこともあるのだが。とにかくわけわからずにひたすら敵将の首を狙って攻撃しまくってたらいつのまにか相手はミンチとなっていた。所要時間60分。


モンスターカードの下にあるのがエンチャント。右のは攻撃ダイスが2個増える、なかなかの強力エンチャント。


初回は単純なノーガードの殴り合いだったが、それでもなかなか楽しいじゃないかということで、すぐさま2戦目。今回は相手のWizardが自分に補助エンチャントをいろいろと貼り付けて守りを固め(これのおかげで3回ほど攻撃呪文を無効化された)、1アクションで3回攻撃できる凶悪モンスターをこちらの本陣にテレポートさせてきて、哀れたこ殴りにされ死亡。うん、入門ルール段階でもけっこうな戦術性もあるし、エンチャントのブラフ要素(こういうカードは裏向きに配置し、任意のタイミングで公開発動できるのだ)も面白いし、マナリソース管理も悩ましい(とうぜん凶悪な呪文は高いマナコストがかかる。マナはラウンド毎に一定量供給されるので、強力呪文を使いたければしゃがんで耐えなければならない)。

これがフルルールになれば、呪文をつかえるモンスターを召喚したり罠をはったりなどやれることが増えるし、マップが広くなるので手組が必要になり、より戦術性が増すことだろう。時間も2時間もあれば余裕で終わりそうだ。いやあ、やはりBGGの評価は信じるべきです。

というわけで再戦を約してこの日はお開き。はやくフルゲームがやりたい。それが面白かったらメイジウォーズ仲間を増やして、拡張が出たらそれも買って、たくさん遊ぶのだ(そういうことを去年YOMIでも言っていたような気がするが、結局YOMIは5回くらいしかやっていない)。

2012年10月31日水曜日

クラッシュオブカルチャー

クラッシュオブカルチャー(Clash of Cultures





エッセン2012の「個人的」最注目作。ドイツまでアメゲーを買いにいった馬鹿なニンゲンです。

デザイナーは「海賊と商人」のChris Quilliams、パブリッシャーは同じくZ-MAN。内容は鉄器時代までのCivilization系で、公称プレイ時間は240分。ギークな方たちの間でも好むひとが多いのが「中量級」Civ.ゲームだということもあり、BGGでは発売前からけっこうな注目を集めていた(この種のゲームは4時間でも中量級なのですね)。

わたしもこの手のゲームは大好きで、当然チェックしていたし、事前にルールも読んだし、プレオーダーもした(なんと80ドルだ)。しかしルール読みの時点で若干の不安があったのである。なぜって、あまりにもすらすらと読めすぎて、全く意外性がないのだ。それはつまり、このゲームの売り、他を差し置いてもこれをやろうじゃないかという気にさせるような個性がないことを意味する。


しかしゲームはやってみないとわからない。それにこの箱絵、じつに良いではないか。まさに「文化の衝突」である。ぞくっとくるではないか。というわけでナガミネさん、たむらさん、つなきさんと。

都市1つと開拓民1人を持ってゲーム開始。

インストは30分で終わってしまった。この手のゲームに慣れている人なら、ほんとうにすんなりと飲み込めてしまう。

勝利条件はゲーム終了時に最多得点をもっていること。点は自分の都市に建てた建物から得られる。建物は数種類あるが、どれも1つにつき1点。その他に目標カードというものがあり、毎ラウンド1枚ずつドローする。そこにはゲーム中に達成すべき目標が書かれていて、達成したら公開する。1枚につき2点。それと、建てるのに相当の資源が必要なワンダーがある。1枚5点。

目標カード。上下のどちらかを達成すれば2点。

ゲーム終了までのラウンド数は6ラウンドと決まっている。1ラウンドの各プレイヤーの手番は3回ずつ、1手番で3アクション。つまりゲーム終了時までのプレイヤー1人のアクション数は54回だ。なんて長さだ、と思うかも知れないが、アクション1つ1つは細分化されている(これによってダウンタイムを抑えている)ので、むしろやりたいことの多さに比してアクション数が全く足りない感じだ。

サマリーボード。わかりやすい。

1アクションでできることは「進歩」(いわゆるテクノロジー)開発、都市設立、ユニット移動、人心慰撫、文化影響、都市アクションの5つ。都市アクションとは自分の所持する都市1つを選んで行うアクションで、資源採集、ユニット作成、建築のどれかが行える。1手番で同じアクションをどれだけ行なっても構わないが、都市アクションは少々特殊で、同一手番で同一都市を複数回アクティベートすると、その度ごとに住民の不満が増していく。人心状態は「満足」「普通」「怒り」の3段階で、怒りに陥った都市は1手番で1回の都市アクションしか行えなくなってしまうし、都市サイズ(後述)は1として扱う。これを回復するのが「人心慰撫」アクションだ。

都市サイズとはその都市に建てられている建物数のことで、都市設立当初は家が1個だけなのでサイズ1だ。これが大きいと1アクションで収集できる資源数や、買えるユニット数が上がる。家以外の建物は港、神殿、砦、学院の4つ。同一都市に同一建物を2つ以上建てられないので、都市のサイズ上限は5である。

他に毎ラウンドもらえるアクションカードがある。これはアクションとして使うものもあれば、フリーアクションとして使えるものもある。

アクションカード。下部は戦闘時使用の効果。

3手番ずつ行うと1ラウンド終了。ここでステータスフェイズというものがあり、各プレイヤーは達成した目標カードを公開したり、無料で進歩を開発したり、スタートプレイヤーが変わったりする。

個人ボード。全進歩が一覧できる。

「進歩」はプレイヤーボードにすべて記されており、開発したら各マスにキューブを置く。全進歩は12の分野にわかれていて、ある分野の進歩を開発するときは、1番上列のものをまず開発しなければならない。1番上の進歩があれば、あとはその分野のどれを開発してもよい。政治体制の進歩のみ特殊で、同時にとれる進歩はどれか1分野に限定される。たとえば民主制分野の進歩を持つプレイヤーが専制に移行する場合、民主制のキューブをすべて専制に移動する。


ゲーム開始直後は、みなが都市を建てることになるだろう。というのもプレイヤーの持てる都市サイズの上限は、そのプレイヤーの持つ都市数と同数に制限されるからだ。都市を2個にしてやっと、都市のサイズを2にできるわけだ。

というわけでみながいそいそと都市を1つ2つと増やすことに専念し、世界は全く広がる気配を見せなかった。ゲームマップはヘクスが4つつながったタイルがセットアップ時に裏向きに配置され、ユニットが入ると同時に表向けられる。

しかしさすがにタイル1枚では手狭だし、都市がくっつきあっていると資源収集の面であまりいいことがない。隣のタイルに開拓民を移動させる。と、蛮族が現れた。蛮族は肥沃な土地を多く含むタイルには必ず登場し、イベントやアクションカード効果によって数を増やしたり襲ってきたりする。ゲーム開始時は兵士を1人も持っていないので、かなり危うい状態だ。

兵士をつくって蛮族を攻撃する。戦闘ルールは単純で、1ユニットごとにダイスを1個ふって、合計を5で割った数分だけ相手ユニットを減らす。他にアクションカードを戦闘カードとして使える。戦闘後、敵都市に自分のユニットしかなければそこを占領し、自分のものにできる。これは対蛮族でも同じで、蛮族の家を奪える。



そうこうしているうちにすでに2ラウンドが過ぎた。いにしえのときの流れはたゆたうように緩慢として、すでにかなりの進歩があるが、効果はさほど強くはない。しかしそこに容赦なくイベントがおそってくる。進歩を開発するとワンダー建築や文化影響アクションに使用する文化トークン、および人心慰撫に使うムードトークンの所持上限数が増えるのだが、この増加によってイベントが発動するのだ。そしてこのイベント、7割くらいはろくなことがおこらない。蛮族がおそってきたり都市サイズが下がったり住民が怒り出したりする。しかし2金もらえるだけ、なんてのもあって、完全に引き運だ。

引き運といえばアクションカードもそうで、むしろこちらのほうがひどいかも知れない。他プレイヤーの進歩を無償で、しかもノーアクションでコピーするという凶悪カードもあれば、くその役にも立たないカードもある。進歩コピーのカードを序盤で手に入れれば相当なアドバンテージを得るだろう。

世界が見えはじめた。船はお金も稼げて便利。

中盤を迎え、さすがに世界がその姿を現しだした。この世界は海洋で分断されており、私の地はまさに辺境といっていい。しかしこれは良いことで、敵の軍勢におびえることなくまったりと都市をつくっていける。

そしてこのころから進歩コンボが回りだしてなにかすごいことに……、ならなかった。やはり青銅器から鉄器時代の進歩はちまちまとしており、もう名前を出してしまうがFFGのSid Meier's Civilizationの拡大再生産ぶりに比較すると、じつにとろくさい感じである。序盤と比して、やっていることがそう変わっている気がしない。「進歩」をあまり感じないのだ。

とり方が下手ってのもあるだろうが、これだけとっても地味な発展感。

ときは終盤となり、みながワンダーを建て始める。わたしは相変わらず辺境で平和国家運営に勤しんでいたが、たむら国は軍拡を選択、最強武器・鉄器を手に入れた。そして最終2ラウンドで周辺国家を蹂躙しはじめた。都市が2つ、堕ちた。おお恐ろしい。

建てるのが大変なワンダー。名前が実にそっけない。

軍事的に立ち向かえない相手から点を奪うために、「文化影響」アクションというものがある。自分の都市サイズ以内の距離の相手都市を指定し、ダイスロールに成功すれば(文化トークンによる修正有り)、その都市の相手建物1つを自分のものにできる。しかしこれはゲーム中は相手の建物として扱い、なんら機能的制約を受けない。あくまでもゲーム終了時にこちらの点として換算するだけなのだ。しかも1手番で1回しか成功できない。1アクション(以上)を消費して、敵から1点を奪い、こちらは1点を得る。しかし建物の機能は敵のもの。これじゃあ自分の建物を建てた方がいいんじゃないの? となるだろう。実際、最終盤に入るまで、だれもこのアクションをとらなかった。


ゲーム終了時の得点が見えすぎるという問題もある。最終ラウンドに後手番で、勝利に絡んでいない人は、望む望まざるに関わらずキングメイク的行動をとらざるを得ない。一応最終ラウンドが終わった後に達成目標カード公開があるので、少しは緩和されはするのだが。そうそう、この目標カードの引き運もかなりのものだ。すべて一律2点なのに、達成難度が10倍くらい違う。最終得点は34対33だかでたむらさん1位、わたしが2位だった(蹂躙されなかっただけ)が、この程度しか稼げないゲームで、得点に関わるカードが引き運に相当に依存するというのは、はたしてどうなのか。

終了時。地図にまだ空白地が。

終了後のみなの感想は、「もっさりしたCivilization」で一致した。文明が発展していくドライブ感はほとんどなく、古代世界の地味な進歩をちまちま行いつつ、天変地異(カード)の引き運に苦しめられるゲームである。はっきりいって、これをやるならFFGCiv.をやる。もしあなたがFFGCiv.をやったことがなくてこれをやろうというのなら、絶対におすすめしない。FFGCiv.はもう何度もやりました。食傷しました。文明ゲームならどんなのでも大好きです。珍味もいいじゃない。というのなら、1度試してみる価値は、ないわけではない。相当にこき下ろしたが、Through the AgesやFFGCiv.という傑作が同時代にあるからいけないのであって、虚心に単体として見れば、そう捨てたものではない。各進歩の連関に慣れれば、そこまで派手ではないだろうが、それでもある程度の発展感は味わえるはずだ。イベントカードを抜くというオプションルールもちゃんとある。


そう、なのでわたしは2回目をやりたいのです。つきあってくれるひとを募集しておりますよ。

2012年10月28日日曜日

(株)ゴブリンズ

(株)ゴブリンズ(Goblins, Inc.




たむらさん、ナガミネさん、つなきさんと。ナガミネさんルール直読みでプレイ。その間残りの人間はまったり雑談。お疲れ様でございました。


Czech Games Editionのエッセン2012新作。ギャラクシートラッカーの流れをくむ作品だが、デザイナーは新人のFilip Neduk。

プレイヤーは2対2のチームに分かれ、タイル配置で自チームのロボットをつくり、それを戦わせて勝利点を稼ぐ。置くタイルはGTのような早取りではなく、1チーム10枚(1人5枚)で4枚(2枚)を相手チームと交換する。しかしチーム内相談は禁止なので、配置で2人の思惑がうまくはまらなかっりするといびつなロボットができあがってしまう。戦闘時はそれぞれ砲手とドライバーを担当するが、これもテレパシーが失敗するととんでもないダメージをくらったりする。しかしそれが楽しい。どちらかの勝利が確定したら、チームを組み直してもう1戦。個人得点の高いプレイヤーが勝利。

チーム戦でも得点は個人に入るというのがみそで、各プレイヤーはそれぞれ目的カードを4枚持ち、それによって戦闘終了時に点を得る。「敵のエンジンを2枚破壊するごとに3点」とか、「自分の武器を3枚守るごとに2点」などなど。

なのでチーム内ですでに目標がばらばらなこともあるわけで、たとえばペインティングのタイルは性能上なんの役にも立たないのだが、これを守ると点が入るカードを持っていれば、破壊されにくいロボット内部に配置したりする。とうぜんロボットは弱くなり、パートナーの不興と不信を買うことになる。繰り返すが、しかしそれが楽しい。

画像はBGGから。

1戦目はつなきさんとペア。タイル配置に失敗して弱っちいロボットができあがった時点でこりゃまずいと思い、「負けると4点」カードを手に残す。われらが「ヤマト」(勝手に名付けた)は奮戦したが残りタイル数の差で惜しくも敗戦。負けに賭けた4点や「破壊達成」カードなどでちまちま得点したが、勝利チームは自軍の生き残り乗員数に応じて点が入るので、すでにけっこうな差をつけられる。さすがに自チームが勝たないとだめなようだ。

2戦目はたむらさんとペア。戦闘ごとに変わるタイル配置制限できついものが出て、ウィークポイントが多数あるはりぼてロボットができあがる。しかし火力は十分。おまけに相手に多数渡したペインティングタイルのおかげで、どう見ても性能はこちらが勝っている。これは勝てる!

砲手はわたし。一気に勝負を決めてやるぜと最重要装備であるエンジンを狙う。しかしこれがどうしようもない失着で、さすがにはりぼてとはいえ敵もさるもの、機関部には装甲をほどこしてあるし、ボーナスタイル(毎ラウンド3枚オープンされ、ここから自チームの特殊能力を選択する)で追加装甲まではりつけられ、少々の傷をつけただけで終わってしまう。

対する相手はダイスの走りもよく、圧倒的火力がわれらがロボット「ムサシ」(いま名付けた)の上に降り注ぐ。アキレス腱と弁慶の泣き所を破壊され、なんと1ラウンドで全体タイルの半分近くを失ってしまい、この時点で敗北確定となった。3度目だが、しかしそれが楽しい(たむらさんには悪かったけど)。言い換えれば、こういうはちゃめちゃを「楽しい」と思えなければ、このゲームに向いてはいないだろう。



テーマもアートワークもよく(難を言えばロボットを戦わせている感じはあまりせず、戦艦で撃ち合っている気分だったが)、基本的にはバカゲーぽいのだが、それでもしっかりと「ゲーム」になっている、こういう作品はけっこう貴重だ。Cryptozoic(Food Fight、Epic Spell Wars)のゲーム(除デックビルド)がまさにそうで、アメゲーを引き合いに出すとCGEファンの不興を買うかも知れないが、あそこのゲームが好きなら、これも間違いなく楽しめると思う。世界はつながっているのだ。



日本ではホビージャパンによる輸入発売が決定している。恐らくゲームマーケット2012か、そうでなくても年内には売りだされるのではなかろうか。

テラミスティカ会

エッセンシュピールから帰国したのが当日の午後1時。いったん帰宅した後、テラミスティカをやるためだけに集まる人たち。どう見てもあまりおりこうではない。



テラミスティカ(Terra Mystica



シミズさん、タナカマさんと。エッセン2012、スカウトアクション2位の話題作。デザイナーはJens Drogemuller(ツァヴァンドールの笏の人)とHelge Ostertag(カイヴァイの人)。パブリッシャーはこのゲームのために設立されたFeuerland Spieleで、創立者のFrank Heerenはウヴェ・ローゼンベルクの旧友。それでだろうが、ウヴェ様がディベロプメントを担当している(たぶん)。

このゲームを一言で説明するのは難しい。なにしろいろいろな要素がこれでもかと詰まっていて、しかもその要素のひとつひとつが実に憎いしかけに満ちていて、びっくりおもちゃ箱である。プレイヤーがさまざまな種族を担当し、生息域を拡大していくというのが恐らくメインテーマだが、種族によってはその陣取り部分にあまりリソースを割かない方が勝利が近くなるので、「そういうゲームです」とも言い難い。

1つだけはっきりと言えるのは、これはまぎれもない重量級ユーロゲームだということだ。複雑さの袋小路へと突き進むユーロゲームの、最先端の果実である。さまざまな仕掛け、無数の勝利点獲得法、とりうるアクションの数はそれほど多くはないが、それでも少なくはない。

いくら洒落た仕掛けでも多すぎれば見通しは悪くなり、得点機会が多岐にわたると「なにをやっても点になる決断レスゲー」になる危険がある。つまりなんだかよくわからなくなる。このゲームの凄いところは、その危険を回避し、多すぎる要素をしっかりとまとめあげているところだ。

そのため、担当する種族ごとに能力が相当に異なっている。多数用意された得点機会のうちから、種族別に勝利へのルートをある程度限定することで見通しをよくしている。得点機会のほとんどがゲーム終了時ではなくゲーム中にあり、個々の得点は少量なので、なにをしたら良いか手につかないところがあるのだが、種族特性から自然と絞り込めるようになっている。これをシステムによる強制的なものとして好まない人もいるだろうが、そもそも全体の得点機会の多さがこれと噛み合うようにつくられたものだろう。アメゲーなどの非対称陣営ものに似たようなものはあるが、ユーロでここまで徹底しているものはそうはないと思う。

極端に言ってしまえば、種族ごとにかなり別なことをしている感がある。それだとソロプレイ感が強くなるのかと言えば、全くそんなことはない。あるアクションに必要なパワーをためるには「自分の建物に隣接した場所に、他人に建物を建ててもらう」必要があるし、カルトトラックは全員の競争であり、これに少しは絡んでいないと勝てない。しかしカルトトラックの進め方は一様ではないのだ。


というのはゲーム終了時の感想で、実際のプレイは疲労困憊だったこともあって無駄なアクションをけっこうとってしまって無残なものだった。勝ったのは同じくへろへろだったはずのタナカマさん。魔女を見事に操縦していたるところに館を築き、街をつくっては点をもらっていた。


これは一本筋の通った「キレ味のよい」ゲームではない。洒落たパーツをこれでもかと投入し、ともすれば野暮になりそうなところを、その一歩手前で見事にまとめあげた、なんだろう、鍋焼きうどんみたいなゲームだ。良い例えが思いつかなかったが、とにかく、一度やってみる価値は十分にあるし、一度やったら、はやく他の種族でやりたくなるだろう。






クー(Coup


イギリスの家族経営小パブリッシャーのゲームで、エッセン2012出展品。ラブレターにお金と正体隠匿を加えた感じ。対応人数が広いのだが、少人数でもカードを抜いたりしないので、いろいろアレンジして遊んでみた。粗さも目立つが、軽く遊ぶには実に良い。笑いも絶えない。

2012年10月10日水曜日

ダンジョンペッツ会

今年のエッセンが始まる前に去年の話題作を消化しておきたい、などという馬鹿げた強迫観念は犬にでも喰わせてやるべきだが、しかしなかなか捨てきれない。たびたび「ペッツペッツ」とつぶやいていたら、「かわいそうだからやらせてあげよう」ということになった。持つべきものはゲーム仲間である。



ティータイム(Tea Time

もう1人を待つあいだ、たむらさん、シミズさんと。



オルネラの最新作は『ふしぎの国のアリス』を舞台にしたカードゲーム。イスタリから出したOzといい、原作ものに触手を伸ばしつつあるのだろうか。

ルールは非常に簡単で、毎ラウンド4×4の格子状にカードが配置され、そこから手番順にとっていくだけのセットコレクション。とり方は単独1枚、連続2枚、連続3枚のいずれか。カードは6人のキャラクター別に8枚ずつだ。3ラウンドやった後、各キャラごとに1枚1点、以下3点、6点、10点、15点となる。0枚が5点になるので、2枚までならとらない方がお得。

ただし各カードは両面仕様で、裏表ともにキャラは同一だが額縁の有無の違いがあり、この2種をともに手に入れると1対1で相殺してしまう。少ない枚数ならとらない方がましなので、狙って相殺させることもたびたび起こる。

これでわかるようにこれ以上ないくらい軽いゲームだ。でもちょっとした悩みどころもあるし、なによりカード絵の雰囲気がすばらしい。とくにアリスがかわいいのだが、上の写真では全くわからないので、BGGから引っ張ってきたのを下に貼っておく。


題名のとおり、ティータイムのおともにふさわしいゲーム。でもアフタヌーンティを習慣にするような人とボードゲーム好きとの距離は相当遠い気もするけれど。あと他人干渉が直接的でわかりやすいので、おっかない人とはやるべきではないかも知れない。





ダンジョンペッツ(Dungeon Petz

ヒガさんが加わり、メインへ。




最近は人気ナンバーワンデザイナーの呼び声も高い、フバティルの2011年エッセン新作。ダンジョンロードと世界をともにしているが、内容は全くのべつもので、モンスターを買って育てて売るゲームだ。

フバティルといえば複雑、というのはよく言われることだが、このゲームもそうとしか言いようがない。だがいわゆる複雑ゲームとはカテゴリーからして異なる。どこが中心かもわからない迷宮のような複雑さではなく、本筋にはすっきりと一本の線が通っている。複雑なのは枝葉の部分で、ここは確かにリファレンスが必要だ。だが本筋・枝葉ともにゲームシステムが1つの世界のうちに系統だってまとめられているため、実に理解しやすいものに仕上がっている。とくに目新しいしかけはない(基本的にはワーカープレイスメント)のだが、このテーマ世界内のまとまりの良さは特筆ものだ。

なのでその職人技を鑑賞できただけで、わたしは十分に満足したのである。わがペットがエサを与えられず、不潔で、スキンシップ不足なことに顧客が不快感を示し、哀れ二束三文で買われていき、ぶっちぎり最下位に終わったことなどは、瑣末なことでしかないのだ。たまに良質なゲームに出会うのは、実にたまらない。これが本当に「たまに」なのが、またたまらないのだ。




ところで今回は某ボードゲームのできるカフェでプレイしたのだが、このゲームのモンスターはフンをするのである。で、当然のごとくわれわれはフンをフンなどといわずうんこというわけである。「うんこがあるとマイナス◯点だよ」とか「このうんこはこれで相殺」とか「うんこうんこうんこ」などという発言が飛び交う飲食店というのは実に如何なものかと思う。すみませんでした。

2012年10月4日木曜日

平日ゲーム会はしご(アンデアン・アビス、5th Street Games特集)

私は夜型人間だ。ゲーム会は基本午後から、どうせなら昼過ぎから、もっと言えば夜から、理想を言えば深夜からが最高だ。麻雀漬けだったころ、午後11時から午前7時くらいまでの東風戦24回セットというのをよくやったが、そういうゲーム会がないものだろうか。

アンデアン・アビス(Andean Abyss


しかしアビスがまたできるとなれば、当然寝る時間を調整しても参加なのだ。旅団長閣下、つなきさんと。いつもありがとうございます。

今回は3人戦なので麻薬組織はノンプレイヤー扱いとなり、自動アルゴリズムによって動かされる。私は政府を担当。しかし政府と前回担当した反政府組織とでは基本的な動きから全く異なっており(Labyrinthと同じく、恐ろしいほど非対称的なのだ)、なんかよくわからない間に不利なイベントが2つ発動されて手錠と首輪をはめられ、焦りから近視眼的に対処していくうちに首輪がぎゅんぎゅんと締まり、そうこうしているうちにテロが各地で頻発し、3回目のプロパガンダ後には深刻な資金難に陥ってしまった。

終了まで6時間かかったが、勝者はNPFの麻薬組織であった。わが政府は実に不甲斐なかった。猛省。




外に出ると、そこは既に夕闇が迫っていた。駅前の中華料理屋で油淋鶏定食を食し、敗戦の味を鶏肉とともに無理矢理胃中に押しやって、私は次の場所に向かうのだった。




ニューロシマ・ヘクス:スティールポリス(Neuroshima Hex Steel Police


オビ湾卿と。

ポーランド産ボードゲームの傑作、ニューロシマ・ヘクスの最新拡張。以前iPhone版でそれなりにやり込んではいたのだが、そんなのは屁にもならなかった。担当したダンサーという陣営が一癖どころか十癖くらいある難儀な奴らで、なんと全部で3ユニットしかないのである。1ユニット10HP持ちで、1ユニットでも死んだら負け。手持ちのチップは全部アクションで、移動しまくってなんとかせいということのようだ。

しかし相手の鋼鉄警察というのはHQのHPを1減らすと任意のユニットにネットをかけられるという強烈能力もちで、しかもそのHP減少を0にするモジュールが早々に配置されてしまい、そいつを壊そうにも初期配置を隅にしてしまったせいであまりにも遠く、恐らく最初の3ターンほどで勝敗は決していたのだなと、今にして思う。

久々にニューロシマヘクスをやったが、おまけに惨敗したが、2人用ゲームでは屈指の作であることを再認識した。iPadを持ち歩いていればいつでもどこでも2人対戦ができるというのも素晴らしい。あ、でもこの拡張はまだiOS版は出ていないのだけど。



ファーマゲドン(Farmageddon


タムラさんが加わり、3人で。

先週(だったと思う)、この会でカラスと水差し(The Crow and the Pitcher)というトリックテイキングをやったが、それと同じパブリッシャー(5th Street Games)の最新作である。もともとはThe Game Crafter(アメリカの万印堂みたいなとこ。同人ゲームの制作・通販を行っている)で売られていたものだが、それをこの会社が拾ってKickstarterにかけ、大量のバックを得て販売に至った。ボードゲームの今を象徴するようなゲームだ。

しかし内容は「今」とはとても言い難く、とんでもアクションカードが飛び交うはちゃめちゃゲームだ。プレイヤーの目的はボーナンザのように畑に作物を植えて収穫することなのだが、1ラウンドの間畑を持ち続けていることが非常に困難で、奪われたり枯らされたり農薬を撒かれたりウンコを盛られたりしてしまう。自分の畑を育てるゲームというより、他人の畑を奪い取るゲームと言ったほうが良い。つまり奪うカードをひけないとかなり厳しいことになる。

ただし、残念ながらルールをミスってしまい、本来は手番でアクションカードを2枚までしか使えないのだが、無制限使用OKにしていた。これでカードマネジメント要素が相当薄くなってしまったということはあるだろう。


キャッスルダッシュ(Castle Dash



5th Street Gamesからもう1本投入。ここのBGG登録作のうち現在発売されているものは4作なので、これで75%を制覇したことになる。

ファーマゲドンが香辛料大量添加ゲームだとしたら、こちらは草を生で食むようなゲームであった。基本的なアイデアをそのまま製品にしたような感じで、調理過程が0に近い。1つだけ挙げれば、ワーカーマネジメントが骨子で1個2個が大事なリソースなのに、ワーカー数にダイスロールをそのまま加えるのはいかんだろう。人これを蛇足という。しかもその蛇にはうろことかいろんなものがまだ付いていないのだ。




帰宅して、シャワーを浴びる。身体をふいていると、タオルに赤い染みがついていた。数年ぶりの鼻血だった。なにかの負荷が限界を超えたのだろう。ゲームはときに、身体を蝕む。おそろしい趣味である。

2012年10月1日月曜日

週末ゲーム会(マリア、レガシー、祈り働け)

金曜のアビス会を含め、3日連続のゲーム会。総時間はそんなに長くはなかったけれど、もともと体力のないこともあって疲労困憊。


2日目 一味さん、つなきさんと。

マリア(Maria


オーストリア継承戦争を舞台にした、3人ゲームの大傑作。ジャンル的にはウォーゲームになるが、ルールは非常に解りやすいので、私のような素人も安心。

一般に3人での殴り合いゲームは、2人がケンカを始めるともう1人が有利になってしまうので難しいとされる。と言うよりも、3人以上ならこういったマルチ的な問題は常にあるものだが、3人の場合が最も先鋭化しやすい。この解決のためルール的な束縛を化したり、攻撃要素をベールに包んで曖昧化したり、もしくはプレイヤーの配慮に任せたりし、その程度に応じて「直接攻撃ゲーム」だの「マルチゲーム」だの「ソロプレイ感覚が強い」だのと言われることになる。

「マルチウォー」であるこのゲームでは、システム的な工夫によってプレイヤーが自然に「マルチ的配慮」を行えるようになっている。マップが大きく2つに分割されており、一方ではオーストリアにフランスとプロイセンが侵攻し、もう一方ではオーストリア・国事軍とフランスが戦っている。プレイヤーの担当国は各々オーストリア、フランス、プロイセン+国事軍で、つまりプロイセンプレイヤーは一方ではオーストリアと戦い、もう一方ではフランスと戦うのだ。これを生かして、片方のマップでフランスが優位に展開しているときはもう一方でフランスを叩いてそちらにリソースを割かせるし、その逆もまた然りとなる。

他にもトランプスートを使った戦闘(戦闘場所に合わせて使用スートが変わる)の明快さと奥深さや、政治的交渉・契約の妙など、美点は枚挙に暇がない。4時間超かかったが、全くだれることがなかった。

レガシー 時の歯車(Legacy: Gears of Time


正直言ってKickstarterで良い目を見たことはあまりない。バックしてから届くまでのあいだに日本語版発売が発表されたり、もう店で売っているのにこちとらの家には届いていなかったり、だめだめなゲームだったり、そんなのばっかりである。しかしこいつは久々の当たりだった。

過去へと航行し、技術を開発するのが目的。各技術カードの絵がなんとも面妖なのがまず良い。ただしカード質はあまり良くないので、気にする人はスリーヴ必須だろう。キック版にはプロモカードとしてGenConやKickstarterが入っている。Kickstarterはインターネットの先の技術で、17点を誇る最強カードだ。

技術を確立するには前提技術が前時代にあることが条件で、当然高い技術ほど前提技術が多いので、新しい時代に開発しなければならない。しかし時代が新しいほど置ける技術数は少なくなる。では先手番の方が有利かといえば、このゲーム、ラウンド中に過去方向にしか進めないので、高い技術を置いたあとに過去へさかのぼり、必要な前提技術をちまちま作っていると、後から来たやつに高い技術を乗っ取られたりする。このへんが実にいやらしい。

公式プレイ時間は75分だし、アートワークはふざけているしでまったり軽ゲーかといえばさにあらず、相当に「重い」ゲームだ。断言するが、75分では絶対に終わらない。それに技術連関を理解して、カードをとっておいたり先を見据えてプレイできるようになるまでは2回ほどやらねばならないので(私は2回やったけどいまだによくわからない)、結構なやり込みゲームでもある。

インスト込みで2時間かかった。マリアでぽえぽえした頭を優しく癒すためのゲームだったのだが、疲労度ではマリアを上回ったかも知れない。



3日目 PHYさん、たむらさん、つなきさんと

祈り働け(Ora et Labora

このプレイヤーは私ではございません。私はダメダメでした。

連日ゲームに疲れてお寝坊。午後から向かったら3人でレガシーのプレイ中だった。かなりの好評で、みんないやらしいゲームが好きなのですね。

それでやったのがこれ。いわゆる矢印ゲーム(リソースマネジメントおよびリソース変換)の今期最右翼だろう。私の最も苦手なジャンルで、矢印1本ならまだしも2本出てきたらもうぱっぱらぱーだ。でも苦手と面白さとは別問題。しっかりと面白いゲームだった。4人でインスト込み3時間ほどで終わったので、噂に聞いていたほど長時間じゃないのも良かった。

じゃあまたやる? と言われたら相当な気合が必要になりそうだけど。

2012年9月29日土曜日

アンデアン・アビス会

前々日に「4人集まるならアビスがやりてえです」と言ったらすんなり通り、ルール訳者の旅団長閣下にはいろいろお手数をおかけした。ありがたいこってす。

旅団長、つなきさん、ナガミネさんと。

アンデアン・アビス(アンデスの奈落)(Andean Abyss


GMTのCOINシリーズ第1弾で、デザイナーはLabyrinthのVolko Ruhnke。国家としての体が崩れかかっていた90年代コロンビアが舞台で、プレイヤーはそれぞれ政府、極左組織、極右組織、麻薬組織を担当し、相異なるアクションを駆使して相異なる勝利条件を目指す。内容は実にブラックで、テロ脅迫誘拐なんでもござれ、もちろん麻薬を作って売り払うこともできる。

いわゆるカードドリブンのマルチゲームなのだがカードの使い方に特徴があり、手札というものがない。毎ラウンドデックのトップカード1枚がプレイされ、そのカードに示された手番順でプレイヤーはカードイベントかアクションを行う。しかしこれを行えるのは2人までで、しかもこのラウンドでアクションすると次ラウンドは参加できなくなってしまう。次ラウンドでプレイされるカードはわかっているので、今回は手番順が先でもあえてパスし、効果が大きい次ラウンドのカードイベントを狙う、もしくは次ラウンドイベントの損害が大きすぎるので今回はパスをして……等々といったジレンマが主軸だ。

1ラウンドで2人までとはいっても、1人目がイベントを発動させると2人目はアクションしかできないし、また1人目がスペシャル抜きのアクションを選択すると、2人目はしょぼアクションしかできなくなってしまう。相手が何を選択するのかを予測していかなければならないわけだ。といってもカードは常に2枚しか見えていないし全体公開なので、他ゲームでよくあるように手札の吟味やカード効果確認で時間をとられることがほとんどない。感覚的にはスムーズだ。

ユニオンパシフィックのように決算カードがデックに計4枚入っており、これがプレイされると勝利判定その他の決算ラウンドが行われる。つまり直前にならなければ決算がいつ始まるかがわからないので、常に好位置をキープしておく必要があり、勝利条件的にも均衡状態が続く(誰かの勝利条件クリアが他の誰かを悲惨な地位におとしめることが無いので)。


で、今回は黄色の極右組織を担当したのだが、こいつが金がないわ人員はいないわの絵に描いたような貧乏右翼で、おまけに勝利条件が「極左組織よりも多くの基地を持つ」という完全な他者依存であり、なんとも実に辛かった。極左の主要敵は政府なので、こちらは政府におもねって「アカの基地つぶしますからお金ください」などとへらへらしつつ、しかも極左を本気にさせたら叩き潰されるので、「まあなあなあで行きましょうや」とコウモリをしなければならない。

セットアップ含め4時間かかったが終了まではいかなかった。でも大体感覚はつかめたので、次回に期待。


スクラムブロウル(Scrumbrawl


ここで旅団長ご帰還。疲労で頭がぽえぽえしてたので、最近のバカアメゲーでは屈指の作であるこいつを投入。

モンスターを召喚してCTFというかラグビーというか的なことをやらせるゲーム。ボールをポータルに入れるか、敵モンスターを3匹殺すと1点。3点先取で勝利。

いままで2人でしかやったことがなかったのだが、3人でやると5倍くらい面白くなる。とにかくモンスター能力や特殊効果がはちゃめちゃで本当に楽しい。惜しむらくはボードが地味なことと、カードテキスト文字が異様に小さいことだろう。

序盤は結構ぶいぶい言わせていたのだが、敵モンスターが私のモンスターと同マスに召喚されてぶっ壊されたあたりから下降線をたどり、結局ナガミネさんがフェニックスで最後のゴールを決めて勝利した。他2人が総力戦で殺しあえばこちらが有利になるのが普通のゲームなのだが、こいつはそんなことまったくなかったぜ。

せっかくのボールゲームなのに、ボールのパスがあまり意味をなさないのが惜しい。投球距離に比してフィールドが広すぎるのが原因だ。これは4人チーム戦にすれば解消するんじゃないかと思われるので、ぜひ試してみたいところだ。もしくはボードを12×12にして、d20の代わりにd12でやるのもいいかもしれない。

もう1つ難があるとすればルールが曖昧なことで、公式サイトには膨大なFAQがあったりするが、どうせバカゲーなので、そのたびプレイヤー合意で決めていってもプレイ感は損なわれないだろう。

いろいろ文句を言ったが、バカゲー好き(どれだけいるのかしらないけど)には本当におすすめだ。さすがにメインにするにはきついので、今回のように重いゲームとセットで、デザートとして楽しむのが良い。

2012年9月26日水曜日

死ね、ロボット死ね!

死ね、ロボット死ね!(Die, Robot, Die!)


ゲーム会でもう1人を待っている間、軽くこんなんどーすかと取り出したのがこれ。Spielbox 2012年第3号のおまけゲームである。デザイナーはダンシング・ダイスのSilvano Sorrentino。といってもこのゲームではダイスを振ることはなく、純然たるアブストラクトゲームだ。



まずセットアップで、ボードの自分の陣地(左右各端2列)にダイス8個を秘密裏に配置する。なぜ秘密裏かといえば、出目を割りふるからだ。8個の出目の合計が16になるように置く。

手番にすることは3つ。まず自分のダイスが相手の基地(端列中2マス)に単独でいる場合、相手のライフを1段階下げる。これはマスト。次にダイスを1つ移動させる。これもマストで、移動条件は

  • 出目と同じマス数を必ず移動しなければならない。
  • 移動途中のマスにダイスがあってはならない。
  • 移動先のマスは空いているか、相手のダイスがあるかのどちらか。
である。つまりマスは空白であるか、ダイス1個か、両陣営のダイスが1個ずつあるかのいずれかとなる。

最後はメイで、敵ダイスへの攻撃が行える。攻撃先は自分の出目と一致したマスでなければならない。つまり5のダイスだったら自分と同じ、左上、右上、右下、左下のいずれかのマスにある敵ダイスを攻撃できる。1のダイスだったら自分と同じマスにいるダイスのみを攻撃できる。

攻撃をくらった側は相手の出目だけ自分の出目が減る。たとえば4が2に攻撃を受けると2になる。このとき0以下の出目になるようだと死亡で、ボードから取り除かれる。
攻撃側は相手の出目だけ自分の出目が増える。たとえば2で4を攻撃すると6になる。このとき6-9の出目になるようなら6になるが、10以上になると死亡する(オーバーヒートするらしい)。6で4を攻撃すると相打ちで両方死亡となるのだ。

自分のダイスが死んだら、ただちにマーカー(ブラックホールと呼ぶ)を1つ、任意の空白マスに置く。以後このマスは通過はできるが止まれなくなる。

終了条件は

  • 相手のライフを0にする。
  • 相手が移動不可能となる。
  • 相手のダイスをすべて除去する。
であり、いずれかが満たされた瞬間に勝利する。

激戦終盤図

正直あまり期待もせず、時間つぶしのつもりで出したのだが、これがけっこうなめっけものだった。相手のダイスを食うのは簡単だが、そればかりしているとどんどん出目が大きくなっていき、移動がしづらくなってしまう。6はほんとに大駒という感じで、じつに使いにくい。小回りのきく3あたりで敵陣につっこみたいが、それだと簡単に殺されてしまう。どの終了条件も実によくできていて、終盤まで3つの可能性を追いながらの戦いになる。

アブストラクトはそこまで好みではないのだが、これはいかにも攻撃している、て感じがして、雰囲気がよく出ている。おすすめ。

2012年9月19日水曜日

平日ゲーム会

昼過ぎから優雅な午後のひととき。
タナカマさん、ナガミネさんと。


ヒープ(Heap


BGGで「絵がかっちょいい複雑UNO」みたいに紹介されていて、ちっと気になっていたゲーム。
ラウンドは大きく2つのフェイズにわかれており、
  • 自分の場に車種ライン別にカードをプレイする。
  • 残りの手札を使って「指定色をフォローできなくなったら負けよゲーム」をする
第2フェイズで勝利したら、山札から何枚かを即座に自分の場にプレイすることができる。

場にプレイしたカードは特殊能力を持っており、こいつを使えば戦闘を有利に進めることができる。また誰か1人が規定枚数をプレイしたら、ゲームは最終ラウンドに突入し、この「フォローできなくなったらry」に勝てばゲーム勝利となる。

特殊能力カードを自分の場にグリッド状に並べていく――といえば思い出すのはGOSUであり、ひとの場の確認が必須なのにテキスト満載でうがーだったのだが、これはアイコン、それもけっこう判りやすいアイコンなのでそんなに苦労はない。とはいえ多くて1人につき15枚程度を把握しなければならないので、やっぱり大変は大変だ。

しかしそれよりも、後半フェイズのプレイ感がどうももったりしていて緊張感に欠けることが気になった。前半と後半の連関がうまくとれていない――毎ラウンド6枚まで補充できるので、プレイを少なめにしたり今ラウンドを捨てたりすることによって手札を温存し、次のラウンドに賭ける作戦にあまり意味はない――のも問題だし、では特殊能力コンボを重視すべきかと言えば、どうもつまらない能力が多い。突出した魅力に欠けるのである。

見た目に反して意外と地味なゲームであり、プレイアビリティや後半フェイズの緊張感維持を考えれば、こういうゲームの常として、2人が最適なんじゃなかろうか。


フェイスイット(Face-it


ここでオビ湾卿登場。今日は栄えあるDOOM例会の日でもあったのだ。
カード確認に疲弊したわれわれのために差し出された清涼剤、それがこれである。

4枚ある手札(手ディスク)から同色なら何枚でもプレイしてよく、同色接続枚数により得点。ゲーム開始時は15点持ちで、得点時は上家から奪うというのがミソで、下家を縛らないとジリ貧確定なので俺が俺がプレイがうまく抑制されている。手持ちディスクはすべて明らかなので、「いまここで得点したいが、そうすると一周してきて大量に点を取られそう」という事態にしばしば陥り、意外と繊細(つーても大したことはないが)なプレイを要求される。

可愛らしいコンポーネント、20分たらずで終わるプレイ時間、単純明快ながらも少しばかりひねりの効いたルール、まさにパーフェクトである。


フリーゼマテンテンセット2入り(Friesematenten)



お金持ちになったら勝ちの、特殊能力カード競りゲー。第2弾ではコンポーネントにキューブが加わり、展開がより多彩になった。入魂の日本語化済みで、プレイアビリティも万全だ。

それでもバランスもへったくれもないカオスゲーであることに変わりはない。高い金で得た虎の子カードを捨てられたり奪われたりすることは日常茶飯事である。だがそれがいい。気心の知れた人たちでやれば和気藹々阿鼻叫喚を楽しめる。


ドミナントスピーシーズ・カードゲーム(Dominant Species: The Card Game


タムラさん、シミーズさんが加わり6人で。2011年度の傑作ゲームの1つ、ドミナントスピーシーズのカードゲーム版。ボードゲームの方は氷河期開始時が舞台だったが、こちらは氷河期の終わり。

要は得点機会が8回ある競りゲーであり、手札補充が少ないのでどこで得点するかを見極めなければならない。下手にかち合って全戦力を投入すると、以後数ラウンドはお地蔵さんになってしまう。メインの落札以外にも、その回に提示されたアイコンを最大数出すことでちまちまと得点できるので、1回の競りに3回分くらい入ってる感じ。ただしメイン落札を1度はしていないと厳しい。

加えてもちろん、特殊カードだ。これは非常に強力なものが多く、なによりプレイして楽しいのでぜひとも引きたいのだが、比率的に少量で、おまけに総枚数が多いくせにたびたびリシャッフルが発生したりして、引けないときは本当に引けない。どうかと思う。

もっとどうかと思われるのはソフトパス(1度パスしてもまた手番が回ってきたら入札可能)なことで、Lixoなどこれを生かしたゲームもあることは承知だが、このゲームにおいてはただ間延びにしか寄与してないんじゃなかろうか。6人プレイだったことが大きいのだろうが、とにかくダレる。

あと上写真にあるように、ラウンドごとに昆虫カードは+1点とかがあるのだが、この計算が煩瑣でもう本当に面倒くさい。相手どころか自分が何点なのかもよくわからなくなってくる。というわけで4人までで、それも公文的な計算が苦にならないくらい頭脳がクリアなときにやるべきだろう。

それにしてもUrban Sprawlのこともあり、Chad Jensenというデザイナーがどんどん信用おけなくなってきたのだが、如何しましょうね。

2012年6月6日水曜日

テンデイズゲーム会

お誘いをうけてのこのこと。15時開始というのが夜型ダメ人間にはありがたい。

マヤ(Maya

Abacusの方ではなく、Sirius2012年の新作。この会社のゲームをやったことはないし、デザイナーの2人(Alberto BranciariとAndrea Mainini)も知らないし、BGGでもまだ2人しかレーティングをつけてない。まさに未知数ゲームである。

5階建てのピラミッドが9色分ある。各段は分割可能である。セットアップでは1つのピラミッドに同じ色が含まれないように全てのピラミッドをつくり、3×3のグリッドに配置する。そうしたら手番順を決め、最後手番となったプレイヤーがトーテムポールを任意のピラミッドの間に置く。



2-4人までプレイできるが、人数ごとに若干ルールが異なる。ルール直読みプレイなので、間違いがあるかも知れない。酷いのは無いと思うのだけど。

2人の場合はほぼアブストラクトだ(テーマが乗っかってる以外は)。手番ではまず隣り合ったピラミッドをどこか1組選び、両方の任意の階より上を交換する。つまり2階から交換する場合は上4つを交換することになるし、4階なら上の2つだけを交換する。ただし5段すべて、すなわちピラミッド全体を交換することはできない。

ここで制限があり、色が連続している部分を分割するような交換は行えない。例えば1~3階まで赤のピラミッドから、2階(およびその上)を交換することはできない。そしてもう1つ、トーテムポールに隣接したピラミッドを交換対象とすることはできない。加えて、このトーテムポールには鷲のマーカーがくっついており、このマーカーの位置が4段階ある。この位置に対応した階を移動させることも不可である。つまりマーカーが3の位置にあれば、3階の交換は行えない(2階の交換によって3階部分が交換対象に含まれるのはOKである)。

交換を終えたら、いま交換したピラミッドの間にトーテムポールを移動させ、さきほどの交換に合わせて鷲マーカーを移動させる。この交換で何かしらの色を連続させた場合、そのピラミッドのそばに自色のハシゴマーカーを置く。ピラミッドが1色で構成された(完成と呼ぶ)ときは、ハシゴに加えてピラミッド頂点に自色の僧侶マーカーを置く。これらが勝利点のもととなる。そして手番は次プレイヤーに移る。

誰かの手番でルールに則った交換ができない場合、ゲームはただちに終了し、得点計算となる。僧侶1つにつき1点、ハシゴはピラミッドごとのマジョリティに1点、だったはず。

3人の場合はハシゴと僧侶は使わない。その代わりカードを用いる。カードはピラミッド色別に9枚ある。これを2枚ずつ配り、自分だけが見る。余った3枚から1枚をオープンし、3×3グリッドの中央マスのピラミッド1階部分をこの色にする。残り2枚は伏せたままにしておく。

手番でやることは変わらないが、トーテムポールの鷲マーカーによる交換制限は無くなる。またプレイヤーは基本的に自分の2つの色でしか得点できない。誰がどの色担当かは得点計算時に明らかになる(といってもバレバレだけど)。終了条件は2人時に加え、中央ピラミッドが完成したとき、または自分担当色のピラミッドのどちらかが完成したときに、終了を宣言できる。中央ピラミッドを完成させて終了宣言を行った場合、5点の追加点を得る。

4人の場合は伏せカードはなくなり、4人が2色ずつ担当し、2対2のチーム戦となる。


タナカマさん、ナガミネさんと3人でプレイしたが、恐らく1番よろしくないのが3人プレイだと思われる。くっつけた色は分割不可能なので、リスクを冒してまで担当色を隠すメリットはない。なので正体はばればれである。あとはどううまく色をくっつけていくかだが、終了が近くなるとお仕事の1人プレイヤーへの押し付け(お仕事しないと次手番プレイヤーが勝ってしまう状況)が発生しやすくなり、膠着しがちになってしまう。では2人か4人で試してみるかと言われると、もともと苦手なタイプなのでなんだけど。


ホワイトウォーター(Whitewater


メイフェアの2012年新作。ラフティングのレースゲーム。ちなみにラフティングとは
ラフティング (rafting) とは、ラフトを使用し川下りをするレジャースポーツ。特に急流を下ってスリルを楽しむホワイトウォーターラフティングをさすことが多い。(Wikipediaより)
 だそうである。

これもルール直読みのため、細かい部分を間違っている可能性があるのでご注意。セットアップではプレイヤー人数分のラフトをスタート地点に置き、各ラフトの担当プレイヤーを決める。特徴的なのが、1艘のラフトを2人のプレイヤーが受け持ち、かつ1プレイヤーが2艘のラフトを担当すること。協力要素があるのだ。

プレイヤーの場には担当ラフトのアクションカード各2枚(計4枚)を表向きに、エネルギーカード(なんかサンダーうさぎだそうである)を3枚表向きに並べる。また1x、2xと記されたチップを受け取り、裏向きのまま自分の各ラフトに配置する。2xを置いたラフトは勝利点2倍となる。



手番が来たらアクションカードとエネルギーカードを使用(裏向きにする)してラフトを動かす。基本的に1枚使用で1アクションだ。アクションには前進(現在のラフトの向きの前方2ヘクスのうち1つに移動。向きは変えない)、方向転換(60度)、後退(これだけは2アクション消費する)がある。担当ラフトの片方の移動を完全終了するまで、もう一方の移動は行えない。

アクションカードとエネルギーカードは両方とも1枚使用で1アクションを生み出すが、当然違いもある。

  • アクションカードは対応ラフトにしか使えないが、エネルギーカードはどちらにも使える。
  • アクションカードは手番の最初に未使用状態に戻るが、エネルギーカードは1アクション消費しないと未使用状態にならない。
エネルギーカードでスパートをかけることはできるが、消費するとまた使うために手間がかかるので、使いどころを考えましょうということだろう。

ボード上のヘクスにはなにやら記号が書かれたものがある。ここにラフトが移動すると、その記号に応じて自動的に先へ進んだり、勝手に方向転換したり、ダイスロールによってトラブルが起きたりする。また他のラフトを押すことも可能で、押されたラフトが記号ヘクスに入ったらその効果を受ける。

特に重要なのが「パドルを落とす」や「転覆」といった効果で、こうした効果を受けるとそのラフトに対応したアクションカードをロックしなければならない。ロックされたカードは横向きとなり、解除しないと手番開始時に自動的に未使用状態にはならない。解除には1アクションが必要だ。同乗者のロック状態のカードを、自手番で解除してあげることもできる。

こうして難関を乗り越えていき、1番にゴールしたラフトのプレイヤー2人には3点、以下2位2点、3位1点。3位がゴールした瞬間にゲーム終了である。前述のように、2xのチップを置いておいたラフトは勝利点が2倍となる。

引き続き3人でプレイ。引き続き同じ事を言うが、3人はよろしくないと思われる。2人のプレイヤーが同じラフトに2xチップを置いた場合、この2人は絶対にこのラフトを1位にしようと全力を傾ける。こうなったら残りの1人が勝つことはほぼ不可能で、できることは2位のボートをどちらにするかのキングメイク選択権しかない。4人以上なら様々なパターンが生まれるので、これほど一方的にはならないだろう。

レースゲームには往々にして言えることだが、スピード感がまったくなく、急流下りというより池の上のゲンゴロウである。しかしそこは目をつむり、かつ4人以上なら、意外と盛り上がるのかも知れない。正直プレイ中は半分萎えてたんですけどね。


ケイラス(Caylus)


シミーズさんが加わって4人で。今さら私などが言葉を費やすまでもない名作。といっても私はiOS版でちょっとプレイしたことがあるだけなので、偉そうなことなど何も言えない。いわゆる「重い」ユーロゲームは私の最も苦手とするところで、それは世界観とシステムが直感的に把握できないところに原因があるのだが(観念操作が苦手なのですね)、そしてこのゲームは重い重いと聞いていたので、半ば避けていたところがあるのだが、それを後悔させる3時間だった。恐らく前2作がアレだったので、よけいに感激したのだと思われる。


ダブル・オア・ナッシング(Double or Nothing


タナカマさんが抜け、けがわさんが加わって4人で。バースト系、作者は当然クニツィア。手札から出せるなど選択肢が多く、逆転の可能性が結構あり私は好きなのだが、ゲームよりけがわさんとナガミネさんの掛け合いの方が面白かったことは否めない。


あとは深夜までファミレスでだべって帰宅。お疲れ様でした。

2012年6月2日土曜日

まよきん会

月1~2回の頻度で遊んでいる迷宮キングダムのキャンペーン。TRPGとはいっても相当ボードゲームよりなゲームなので、ロールプレイほぼ一切なしで行なっている。そのため、いまだに各キャラの名前すら把握していない(クラスで呼び合っている)。今回のセッションはラスボスが滅茶苦茶強くて、ついに犠牲者が出てしまった。だけどキャラに思い入れなど全くないので、全然気にならないのであった(パーティ弱体化は問題だけど)。

その後少しだけゲーム。

ラブレター


カナイ製作所によるGM2012春発表作品。プレイヤーはカードを1枚持ち、手番が来たら1枚引き、2枚となった手札から1枚をプレイし、効果を解決する。内容はこれだけ、カードはたった16枚、プレイ時間は5分もかからない。しかしカード効果のバランス、読みと運の配合が絶妙で、延々とやり続けたくなる魅力がある。いつもの切り絵っぽい絵も魅力的だ。まだ試作品段階なのだが、製品版が出たらぜひとも手に入れたいところ。

ダンジョン・ファイター(Dungeon Fighter


エッセン2011の台風の目となった、ダンジョン探索ダイス協力ゲーム。デクスタリティゲームなのだが、要求される精度が器用さとかそういうものを超えている(テーブルの下から投げろとか、ダイスをヘディングしろとか)ので、見事なバカゲーに昇華している。ボスを倒すのがほぼ不可能な難易度なのも良い(全員が特訓してから臨めばいけるかも知れないが、いったいどこの誰がこのゲームを特訓しようというのだろうか)。

2012年6月1日金曜日

メイジナイト・ボードゲーム会

最近は3日に1度はゲームしていて、さすがに生活の危機を感じる今日この頃。

2192: Invasion Earth



GM2012春発表の同人ゲーム。『宇宙戦艦ヤマト』の世界を舞台に、ガミラス侵略からヤマト完成までの闘いを描く、らしいが20年くらい前に劇場版(昔の)を観たことしかないので、かなり豚に真珠。

1回目はガミラス担当で、これはまずったかなと思っていたら終盤に押し切り勝ち。序盤は地球側が有利だが、地球汚染が進むにつれてガミラス側有利な印象。終盤近くまでいくとガミラスの猛攻に対して地球側は手も足も出ずといった感じ。

2回目は地球担当。地球が汚れちまってからでは遅いとばかりに相手本拠地に全戦力を差し向けるが、もう少し技術進歩を待ってからが良かったようで、痛恨の敗退。その後地球を落とされてお陀仏。

いまのところ地球は最初の3、4年が勝負な感じだが、他にも筋があるような。1時間かからないので、気軽に様々な戦術が試せそうだ。

メイジナイト・ボードゲーム(Mage Knight: Board Game



エッセン2011発表、フバティル御大の話題作。システムはデックビルドで少々手垢付きだが、プレイ感は他のデックビルドとは全く異なる。ワレスのA Few Acres of Snowと並び、デックビルドを新たなステージに運んだ1作だ。

しかしこのゲーム、とにかく煩雑である。基本システム(移動や戦闘など)はむしろ簡単なのだが、この場所では◯と△と☓ができる、この敵には◯は効くが△の威力が半減する、この部下はこの種の攻撃に対して抵抗力を持つ云々云々がとにかく馬鹿みたいに多い。慣れないうちは(五回やっても十分慣れるとは言えない!)サマリーとにらめっこだ。

そしてもちろん特殊カードの多いこと! 上級アクションに魔法にアーティファクト、カードではないがスキルタイルなんてのもあってテーブル全体がうじゃうじゃである。


しかしその煩雑さを乗り越えれば、このゲームは非常な満足感を与えてくれる。ファンタジー世界を旅する感覚、自分のデックの成長=キャラ成長の実感、ハンドマネジメントがうまくいって強敵を倒し、レベルアップできたときの喜び……。正直最後の得点計算は蛇足のようなもので、ファンタジー世界が満喫できればそれで十分なのだ、とすら言いたくなる。

だが単純なクエスト達成の代わりに得点計算があることで、どの分野で点を稼ごうかと、キャラ成長の方向性も初期から決めていかねばならず、より一層深みのあるプレイが必要とされるのだ。習熟すればするほど、より楽しみが増していく。

今回は王道シナリオと言うべきフル・コンクエストを。魔法サプライにあるカードをコピーできる上級アクションのおかげで難敵を撃破していくが、シティの隣に厄介な敵がいたおかげでもたつき、結局1つしかシティを落とせなかった。


久しぶりだったが、これはやはり良い。エッセン2011作品ならEclipseより好きかも知れない。しかしまず気合を入れないとプレイできないゲームでもある。プレイ時間は2時間半ほどだったが、相当疲れました。

Marquis(Marquis


出したカードに応じてお金をもらったり奪ったりあげたり、特殊能力を使ったり、カードに示された交換レートで宝石を買ったりする。と書くと結構面白そうなのだけど、良いのはコンポーネントだけ(特に金貨)。3人以上でやれば絡みが増えてコクも出そうなのは確かだが、結局は交換レート1:1のカードと暗殺カードの使い所に収斂されると思われるので、そこまで良くなるとも思えず……。