2012年2月27日月曜日

テンデイズゲーム会その1 アクアリウム

プレタポルテのテストプレイをするよ言われれば当然参加。ゲーム会のハシゴなんてKJ師だけの話かと思っていたのに。

人数が揃うまで、まずはこれ。タナカマさん、たむらさんと。

アクアリウムAquarium

エッセン2011発表。個人的に注目していたお魚さんカードゲーム。ちなみに注目の理由は、絵がかわいい8割、軽いカードゲームということで残り2割である。気になる理由なんてそんなものだ。なかなか手に入らなかったのだが、このたびドイツのショップから買えるようになり、めでたくプレイできることと相成った。

パブリッシャーはSandtimer。デザイナーはTim De RyckeとSander Vernynsの2人で、同社からExperimentなるゲームを出している。未プレイにつき未評価だが、アクアリウムが気に入れば当然こちらにも手を出したいところ。

アクアリウムといっても水族館ゲームではなく、趣味としてのアクアリウムの方で、自分の水槽にお魚さんをたくさん飼って豪華にしていくゲーム。基本の魚は4色で、それぞれ小中大がいる。特に青小魚のとぼけた顔がいい。

ゲーム終了時に自分の水槽にいる魚に応じて得点が入る。小魚は1点、中は2点、大は3点。ほかに同色小中大セット、同じ大きさの4色セットを集めればボーナス点というセットコレクション要素もある。

小魚4色セット。

プレイヤーはそれぞれ違った色の小魚1匹を自分の水槽(場)においてゲームを開始する。初期所持金は15金だ。水槽に入れるお魚は、すべて卓の真ん中につくられるマーケットから購入する。

手番にできることは以下のうちのどちらか。
①パスをする。2金をもらい、マーケットに山札から1枚追加する。
②マーケットを買うと宣言する。

②を行ったとき、他のプレイヤーは一斉に手札からカードを1枚、裏向きで出す。カードはゲーム開始時、各プレイヤーに同内容の9枚が配られている。これは大きく分けて2種類あり、
Ⅰマーケットの内容に干渉するもの4枚
Ⅱマーケットの値段に干渉するもの4枚
である。それと無干渉を選択するパスカードが1枚。

さて、他プレイヤーはまずⅠのカードおよびパスカードから1枚を選び裏向きで出す。全員が出したら手番順に実行していく。Ⅰのカードは「マーケットから1枚を捨てさせる」「自分の水槽の魚とマーケットの魚を1匹交換する」「マーケットに山札から1枚追加する」等。こうしてマーケットの内容が変更される。

「マーケットに追加」するなんて美味しいじゃないかと思われそうだが、このゲーム、マーケットから買うときはマーケットに出ているカードをすべて買わなければならないのだ。所持金ぎりぎりだけど買える! などと思っていたら追加カードのおかげでおじゃん、ということもあり得るわけだ。

この処理が終わったら、他プレイヤーは同様にⅡのカードを裏向きに出し、実行する。Ⅱの内容は「マーケットの値段を1金上げる」「1金下げる。だけど自分は銀行から1金もらう」「値段を倍にする」「値段を半分にする。しかしその支払金は自分がもらう」である。

これを買わせるのは惜しすぎると思えば2倍にしてやれば良いし、かなりお金に困ってまして、というときは値段を半分にする代わりに金は俺にくれ、とすれば良い。しかしカード効果は累積する。半分にするカードを2人が出したら、市場価格は4分の1になり、もらえる金は2人で分けるので、なんと8分の1になってしまう。また「これ買わせるとまずいよねー」と思って2倍カードを出しても、貧乏な裏切者が半分カードを出せば、お値段は据え置きのままで買われてしまう。この思惑の絡み合いが楽しいゲームだが、裏をかえせば「なんでそんなの出すんだよ」と頭からすぐ湯気を出す人とはやってはならないゲームでもある。ちなみにパスカード以外は使い捨てだが、「エサの時間」(後述)の後にまた手札に戻ってくる。

こうして水槽が育ってホクホクできるかといえばさにあらず、このゲームでは3回(3人以下の場合は4回)惨劇が起こる。ユニオンパシフィックのように、山札に特殊カードが3枚(4枚)入っており、これがめくられたらただちに決算ならぬ「エサの時間」が始まる。

エサの時間では自分の水槽にいるお魚すべての分のエサ代を払わなければならない。小魚はあまり食費がかからないが、大魚は当然のこと大食いである。支払う前にエサの相場を決定する。1,2,2,3,4のカードから無作為に1枚を引き、それがエサ代の倍率になる。魚の食費基本値はその勝利点およびマーケット値段に等しい。小魚なら1点=1金だし、大魚なら3点=3金である。これに倍率をかけるので、3を引いた日には大魚1匹に9金をはたかねばならないのだ。もちろん払いきれなかった分は廃棄処分となる。最後のエサの時間を処理したら、ただちにゲーム終了だ。

エサ代倍率3倍。貯めに貯めたお金がふっとぶ瞬間。

そう、このゲームではお金がとてもとても大事だ。そのため救済策も用意されている。まず「つがい」。これは同じ魚2匹を組合わせることによって、もう得点にはできない代わりに毎手番、その魚の大きさ分の収入を得ることができるもの。大魚のペアをつくれば6点失う代わりに毎手番3金の収入だ。また貯金箱魚はパスしたときの収入を1金上げる。そして重要なのが藻である。藻は高い(最低6金)上に得点効率も低い(何枚あっても1種なら1点、3種でやっと6点)。しかしエサやり時、1枚につき1匹の魚の食費をタダにしてくれるのである。

ぶたさん貯金箱魚。
ここまでくればわかるように、このゲームは最終エサやりタイムを乗り越えたときの水槽が大事なんであって、それまでに大魚をいくらもっていようが無駄なのである。むしろそんなのは大飯ぐらいの邪魔者なのである。最初は貯金箱魚や藻で収入体制を整え、ラストスパートで一気に中身を充実させるのが理想だろう。とはいってもそううまくカードが出るとも限らないし、大きいつがいをつくるために大魚を確保しておくのも手ではあるし、他プレイヤーの購入時、自分の魚とマーケットから1匹を交換できるカード(強力!)を使用できるように小魚を確保しておきたいものだし……と結構悩ましくもある。

とエラソーに述べてみたが、ただでさえ本質直観能力が劣る私にそんなことが把握できるはずもなく、2回目のエサの時間終了時には、わが水槽には貯金箱魚1匹という大惨事であった。


エサ代がランダムなので揺れ幅が大きすぎることや、プレイヤーの絡みが予測不能領域にまで達していること(要はカオス)、お金の処理が煩雑なこと(ほぼ毎手番収入が入るので)など、人によっては気に入らない要素もかなりあるだろうが、私としてはルール読了時の想像よりずっと破茶目茶感もなく、しっかりと骨のあるお魚さんゲームであることにむしろ感心した次第。恐らくあと数回はやるだろう。やるんじゃないかな。やれればいいな。

国分寺ゲーム会

朝九時から行われているゲーム会だが、完全夜型の私に朝からなど行けるはずもなく、正午あたりから参加。

カラヤのスルタンSultans of Karaya


正体隠匿系ゲーム。誤解を恐れず言えば、超簡略化したシャドウハンターズとでも言えるだろうか。デザイナーはAlex Weldon。一部で高評価のトリックテイク、Insidious Sevensの作者である。パブリッシャーはInsidious~、Shokoba、MiamのMJ Games。今ここで挙げたゲームはすべて日本で取り扱いがあるのだから(完売かも知れないけど)、すごい時代というかおかしな時代というか。

基本的には二陣営に分かれ、自分の陣営が勝利条件を満たしたときに自分が生きていれば勝利点をもらえる。そして、それを何ラウンドか繰り返すのだ。一ラウンドは十五分程度。じっくり腰を据えて勝利の確信を待つのもありだが、確率に賭けて突っ込むのもまた、ありだ。

このゲームで面白いのは、手番で他プレイヤーと正体カードを交換することができるところ。つまり陣営が変更できるのだ。これもまた推理の材料を大幅に増やし、決着をスピーディにすることに貢献している。

こうしたゲームはキモをつかんでからが本当に面白くなるのだが、往々にしてそこまで長い時間がかかるものである。しかしこれはキャラ数が少ないし、特殊能力もすぐに覚えられる簡単なものばかり。一、ニラウンドもまわせば、だれでもだいたいのコツはつかめるだろう(でもできれば和訳シールは貼っておいた方が良い)。人を選ぶ要素も少ない(口が回らなくても良いし、記憶力が大してなくても大丈夫)ので、大人数で遊ぶことの多い人は持っておいて損はない。


マンションオブマッドネスMansions of Madness


クトゥルー、マスター対プレイヤー、ファンタジーフライトゲームズということで、アーカムホラーとディセントを足してニで割ったゲーム、なんてことも言われているようだが、残念ながらどちらも未プレイなのでなにも言えない。デザイナーはCorey Konieczka。代表作はなんといってもBattlestar Galactica、それにRunewarsやStarcraft: The Boardgame、最近ではRune Ageがちょっと話題になった。

内容はまさにアメゲー。移動して、探索してカードめくってアイテム手に入れて、怪物に出会ってSANチェックして戦闘して、シナリオ目的を発見して達成して……、対するマスターはその阻止を目指す。クトゥルーもの、屋敷探索といったテーマに食指が動かなければ、手を出すべきではまったくない。ユーロスノッブはお呼びじゃないのである。

だがテーマが好みならこれほど楽しいゲームもそうはない。いや、私はクトゥルーにはほとんど何も思い入れがないのだが、それでも怪奇探索ものが好き、というだけで相当に楽しめた。インスト時間が短いところも好印象で、マスターの準備はおそろしく大変だが、プレイヤーが把握するべきルールは非常に少ないのだ。残りのゲーム要素はすべてカードに記されているので、アークライト謹製日本語版の実力をじっくり味わえば良いのである。

今回はプレイヤー二人で挑んだが、私の操る女性科学者が無謀にも素手で何度も狂人に戦いを挑み、傷だらけになって息絶えてしまった。次キャラは犬を連れた強い男だったが、ゾンビに囲まれて悪戦苦闘している間にタイムリミット。お試しプレイのようなものだったので、ぜひ後何回かまわしてみたいところ。しかし果たして立つかどうか。


ウィザード・エクストリームWizard Extreme

名作トリックテイクとして名高い「七つの印」の変名再版。デザイナーはStefan Dorra。ちょっと調べてみたのだが、今は「七つの印」はもちろんこちらも日本では買えないのだね。実にもったいない。

内容はスート別でビッドするオーヘル。オーヘルなら三とビッドすれば良いところを、こちらでは赤スートでニトリック、緑で一トリックとやらないといけない。もちろん他のスートでトリックをとってしまったら失点だ。ビッドが手番順というのも良くできており、後手番なら他の人の動向を見てから自分のビッドを決められる。他にもちょこちょこと変わった点があり、プレイ感はオーヘル/ウィザードとは全く異なる。

名作の名に恥じない簡明さと緊張感を持った佳作だが、このバージョンはスートの色がちと見難く、そこは減点材料。アートワークも私は好みではないが、これは好き好きか。



2012年2月26日日曜日

怪ゲーム会その2 ルパン三世 他

本日のメインディッシュ、ルパン三世ボードゲームLupin the 3rd)。



エッセン2011で発表。パブリッシャーはイタリアのGhenos Gamesである。発表時、なんでイタリアがルパンなのかと(一部で)話題に上ったのも記憶に新しい。デザイナーはPierluigi Frumusa。これが処女作であるようだ。


ルパンファンとしては買わねばならんと、ルールが発表されると同時に読んでいたのだが、余りの読みにくさとキャラゲーとは思えぬ複雑ルールに怖気をなし、以後脳裏から離れていったこのゲーム。まさかやれる日がくるとは、全く神に感謝すべきであろう。


さて、このゲームのルールは読みにくい。というか読みにくい以前に意味不明な部分が散見されるし、曖昧な箇所など枚挙に暇がない。たぶん原文のイタリア語ならまだマシなのだろうが、英文はどうしようもないレベルである。そして日本語訳もまた、当然ながらどうしようもないことに相成っている。恐らく半分くらいはルール読解の段階で挫折するだろう。


その労苦を乗り越えた者にはご褒美がある。恐らくこのデザイナーは、本当にルパンが好きなのだろう。特殊カードの絵はすべて新ルパンからとられているし、カード名もまたしかり、カード内容もニヤリとさせられるものばかりだ。まさかイタリアのゲームで「次元の帽子がずれたから命中率低下」なんてカードを見ることになるなんて。惜しいのはカード訳で、特に不二子の台詞が全く不二子らしくない。


しかしこのゲームで褒められるところはこのカードくらいしかない。本当はカードにしたって、マニュアルにながながと各カードの使用法が書かれている時点で却下ものである。売りにしているフィギュアのできも散々たるもので、とても鑑賞に耐えるものではない。


ゲーム内容は詳説しない。要は逆スコットランドヤードである。ルパン側は銭形の警備をすり抜けてお宝を盗み、逃走するのが目的。銭形は制限時間内に一人でもボード上から逃げ出させなければ勝利。ルパン側は銭形プレイヤーからは通常は見えないのだが、視線チェックの結果見えることがある。おお、視線チェック。警官十人分の視線チェック。煩雑すぎるだろうこれは。


そう、このゲームは煩雑すぎる。煩雑で良いゲームは腐るほどある。このゲームがきついのは
・煩雑さのせいでキャラゲーの範疇を大幅に逸脱している。
・煩雑さがリアリティ増加等のプラス効果をもたらしていない。
の二点だ。前者はまだいいだろう。キャラゲーを求めた規範批評でしかないとも言える。しかし曖昧模糊ルールで煩雑さばかり極められては、なにをやっているのかよくわからない。


皆が自分のしていることに確信がもてなくなり、かくして心が折れていく。唯一の救いは、十三ターンやれば確実に終わることだけ。実プレイ時間は一時間ほど、しかし疲労感は半端無かった。




少しばかり擁護しておくと、面白そうな部分はいろいろあるのである。最初のアイテム分配(制限された所持金でアイテムを買い、仲間に分配する)や不二子の裏切り要素等がそれだ。しかしそれを楽しむにはあまりにも毒が強すぎる。誰かこの毒を薄めてはくれないか。遊びやすいバージョンをつくってはくれないか。一緒にプレイした他の人は、もはやこのゲームをやる気はないだろう。しかし私はルパンが好きなのだ。






アドベンチャラーズ:ホルスのピラミッドThe Adventurers: The Pyramid of Horus




インディ・ジョーンズとかトゥームレイダーとか、そういうゲーム。ピラミッドの出口が落石で塞がれてしまう前に、宝を集めて脱出するゲーム。一番集めたプレイヤーが勝利。


みなが奇跡的な引きを見せ、あっという間にピラミッドが塞がれてしまい全員敗北。見事なまでに盛り上がらなかった。「行くか行かざるか」のスリルを感じさせたいのなら、落石位置が完全ランダムで決まるというのはさすがによろしくないだろう、というのを示すためにプレイしたようなもの。逆方向に奇跡的な引きだったのなら、たいそう盛り上がったことだろうが。いずれにせよそこは最も計算して欲しいところで、パンデミック以降にこれはない。




オリンピークOlymPeak




イスラエルの新興パブリッシャー、Toy Smartの2011年作品。ヘブライ語のルールなんて初めて見ました。2011年5月の段階で、これに目をつけてルールを訳す人も人だし、それを見てイスラエルからゲームを輸入する人も人である。……私は後ろからついていくだけです。


要は競馬ゲームである。ゲームの最初に一位と二位を予想しておき、あとはカードプレイでなんとかそいつらを一位にしようとがんばるのだ。開始時にラウンド数を決めるのは意味がないんじゃないかとか、開始時の手札で予想しろというのは無理がありすぎるだろとか、一人で応援するハメになったらそいつはもうほぼ絶対上位にはならないだろうとか、いろいろと粗はあるのだが、しかしデッドヒート時には考えどころも相当あるし、今日やったなかで最も「ゲームらしいゲーム」であったことは間違いない。




木こりの達人Toc Toc Woodman




R&Rでやるときの〆はこれで決まり。疲弊しきった心身を癒してくれる魔法ゲームである。「黄金の斧」拡張も実に欲しい。




こうして怪ゲームの会は終わった。つまらなかった? とんでもない、こんな楽しいゲーム会は滅多にあるものではない。だけど奇食ばかりでは栄養が偏るから、こういうのは一年に数回程度がちょうど良いんだろうね。

2012年2月23日木曜日

怪ゲーム会その1 ミスリルの王


平日の昼間から、どうも怪しげで日頃は立てづらいゲームをやろうではないかとお誘いを受けた。怪しげなゲームは大好物である。一も二もなく参加。

参加者はふうかさん、karokさん、ナガミネさん。みな怪異退治のエキスパートだ。私は後ろからついていけば良いので、その点は気が楽。


ミスリルの王Kings of Mithril


箱絵がかっこいい、しかもミスリルであるということでkarokさんが購入されたゲーム。やはり男の子はミスリルに惹かれるもので、私もElven Mithril Coatなんて聞くとゾクッとするのだ。

デザイナーはEsa Wiik。Mindwarrior Gamesなるフィンランド新興パブリッシャーのメインデザイナー(たぶん)であり、Terra Evolution(共作)等の作品がある。フィンランドといえば話題沸騰中のEclipseを生み出した国であり、期待も高まろうというもの。しかし日本のどのショップもこの会社のゲームを入れていないということは、つまりそういうことなのであろうなという期待もまた、高まろうというものである。

嵐の海に囲まれた孤島、ここにはドワーフの王国がある。プレイヤーはドワーフの部族長となり、自分の支配地域を広げ、発展させ、王国の王を目指すのだ、というのがテーマ。……なんかこの時点でミスリルは余り関係ないのである。どうもボード真ん中の山がミスリル山というらしく、それくらいしかないのである。ミスリルコートとか出てこないのである。

手番でできることは、タイルを買う、ボードにタイルを配置する、タイルをもらう、の三つ。タイルを配置すると置いたタイルと場所の組み合わせによってカードをもらえる。ゲーム終了時、このカードの種類ごとの最多得点者が勝利点を得、合計最多勝利点者が勝利する。要は王選挙に勝つための地盤をつくれということだ。当然多種の地盤を得た方が強いわけだが、その地盤の一位にならないと集めた票は全て無効となってしまうわけで、あれこれ八方美人もよろしくない。

タイルを大量に置いた者が強いのは自明の理だが、基本的に一手番に一枚しかもらえず、残りは資源を使って買わねばならない。だが資源を得るにもタイルを置かねばならず、たとえば村タイルを置くと、そのボード辺にある麦アイコンに自分のマーカーを置ける。そして、なんだか偉そうな人がそのアイコン上に止まると、めでたく麦がもらえるという塩梅。偉そうな人はボード外周をぐるぐると回るのだが、これが毎手番、四面ダイス二個の合計だけ進む。一周は四十マス以上あるので、でかい目を出されて自分のマーカーを飛び越されたときは、次にまた来るのを長い間待たねばならず、実に悲惨である。七個中三個置いていても、結構飛び越されるのだ。

確かに陣取り要素やマネジメント要素がないわけではない。資源を湧かすためのタイルを早いうちに配置したいが、そうしたタイルには接続部が一箇所しかないので、それ以上タイルを置くのが難しくなってしまう。よってまずは三叉路を置いて接続を増やしたい、しかしそうしてると資源が出なくなって……という風に。しかしせっかく資源生産の準備を整えても湧かすのは出目なわけで、つまり半分以上は出目である。偉い人を動かすのに使ったダイス目が、その手番でもらえるタイルも決定するので、出目が悪いと本当にどうしようもない。ダイスゲームが好みでない人はやってはならないだろう。しかしダイス目に翻弄されるのを楽しめる人、半分の人事を尽くしても、半分の天命にぶっ壊されることを是とする人にはおすすめできる。私もこういう、振る手に気合の入るダイスゲームが好きだ。

こうして怪ゲー会一本目は、全く怪しくないどころか清々しいダイスゲーで幕を開けたのだった。