2013年2月12日火曜日

イタリア・ロシアゲーム会

イタリアのGiochix.itと、ロシアのRight Gamesの新作を遊び倒そうという贅沢な企画。だったのだが、私の準備が間に合わなかったせいで前者のGladiatoriは次回まわしとなった。どうもすみません。

ふうかさん、かろくさんと。

CO2


大量破壊兵器いちゃもん侵攻ゲームOne More Barrelに見られるように、Giochixといえばニッチなテーマである。初期作品のMedivaliaは怪ゲームの名をほしいままにするできだったが、最近のRio de la PlataやUpon a Salty Oceanの評判はどれもまずまずといったところで、着実な地歩を業界の一角に築いている。しかしここのリードデザイナーであるMichele Quondamというおひとはルール改訂大好きデザイナーであり、とくにRio de la Plataのバージョンアップぶりはフィル・エクルンドを思わせる凄まじいものだった。そういう点も含め、数寄者向きのパブリッシャーと言えるだろう。

デザイナーはヴィニョスのVital Lacerda、テーマはCO2削減に向けたクリーンエネルギー発電所の建設となればつまらない筈はない、と考えるのが自然だが、3人プレイを2回やった結果、少なくとも3人時は、最終得点が恐ろしく大味であることがはっきりした。

地域のCEP(炭素排出権)は終了時に支配プレイヤーのものとなり、すべて売却できる。最後の手持ち資金は2金で1点となるので、アジアとヨーロッパを支配していて、CEPの相場が最高値だった場合はこれだけで44点となり、発電所3-5基分の勝利点を得ることになる。3ラウンドあたりからは収入も相当に大きいので、資金に苦労することはほとんどない。しかも残しておけば勝利点になるのだから、最終得点は非常に大きなものとなる。毎ラウンド入る収入は勝利点と資金に振り分け可能なのだが、資金は前述のように勝利点に変換できるし、資金を元手に発電所を建てれば点が得られるので、悩むくらいなら全てを資金にしておけばよろしいわけで、余り意味のないものになってしまっている。

収入は各専門知識トラックの1位と2位だけが得られるのだが、トップが同マスにいた場合は両者とも1位と見なし、2位マスにいる者たちも同様に2位と見なす。なので3人プレイの場合、あるトラックで無収入なことはほとんどない。これが資金をだぶつかせる要因となっている。恐らく4人以上のプレイなら、専門知識トラックの競争も激しくなるし、支配できる地域も少なくなるので、上記の問題はかなり軽減されるのではないかと思う。

だが、これは声を大にして言っておきたいのだが、プレイ中は実に楽しいのだ。特に2回目(つまり今回)の、最後にはこうなるだろうと予測がついているときでさえ、2時間のプレイ中はだれることもなく、プロジェクト導入の我慢比べ(発電所建設プロジェクトを導入しないと建設できないのだが、自分が導入すると他人に建設されてしまう)で脂汗を流したり、サミット参加で協力し束の間のウィンウィンを楽しんだりしていた。なので1度は4人で試してみたいゲームだ(BGGでは5人プレイの評価が異様に低いので、また別の問題があるのだと思われる)。

最後に、今回のために作成したサマリー(といってもBGGにあったものを和訳し、FAQの情報を適宜加えたくらいの簡単なものだが)を上げておくので、欲しい人はどうぞ。

CO2日本語サマリー


総督の船(The Doge Ship)


多分、今回やったもののなかでは一番「ゲームっぽい」のがこれ。目的は船パーツカードを購入し、それを建設して勝利点を稼ぐこと。毎ラウンド最初にスタートプレイヤーがダイスを振り、対応色トラックに置く。あとは手番順でワーカープレイスメントをしていくのだが、ダイスより左のアクションマスは無料で使え、右方は1マス遠くなるたびに1金を払わねばならない。当然右のアクションほど強いものが多い。

特殊能力/手番順決定/災害対策に使うタイル(たくさん持っているほど災害対策には強いが、スタックの一番上のタイルの能力しか使えない。強い能力のタイルは手番順が遅くなってしまう)がいい味を出しており、さまざまな要素を勘案してアクションを決定していくのが実に「ゲームっぽい」。Giochixの今期作品のなかでは最も地味なため、そのまま埋もれてしまいそうなのが、ちょっともったいないと思わせる佳作。


日本の城(Japanese Castle)


ここからはロシアのRight Games2012年新作を怒涛の三連発。Right Gamesといえば2010年の『エヴォリューション:種の起源』であり、これが好事家が愛でる以外の要素を全く持たないダメダメなものだった記憶が蘇り、始める前から戦々恐々である。ホビージャパンがここの新作を扱うとの報に接したときは、ついにご乱心めされたかと思ったほどだ。

で、これ。写真を観ればわかるようにカードを組み立てるデクスタリティ系。問題は、いくつもあるルールのほとんどが3階以上の建設を前提として要求しているのに、どんなに頑張っても2階くらいが精一杯というところ。

恐らくこのゲームの使いみちは、ゲーム会場の隅の卓に置いておき、あぶれた者や手持ち無沙汰な者の手慰み用にするのが良いんじゃなかろうか。1年も経てば10階以上も余裕でこなす猛者が大量生産されているに違いない。


シノビ(Shinobi: War of Clans)


正体隠匿で、ゲーム終了時に自陣営のカードが場に最多の者が勝ち。山札が切れたらそこから1巡して終わりなのだが、そのころには相手陣営もほぼ判っているので、当然のごとく最終手番者が強い。しかしそこはマネジメント不可能なわけでもないので、十分許容範囲だろう。とにかくEvolutionのパブリッシャーがこれほど「ゲームっぽい」(また言ってるが)ものを出してきただけでも感動ものだ。


ジャム(The Jam)


セットコレクション。各カードには使い途が2種類あり、レシピとして使うか(上部)、材料として使う(下部)。カード絵は素晴らしく(『サンドイッチ』のまずそーなあれとは天と地だ)、空腹時にやると口の中にジャムの甘酸っぱさがひろがってきそう。

しかしカード種類が多すぎて、確認が恐ろしく大変なのが痛い。場にはだいたい10枚前後オープンされており、手札は常に5枚。しかも大抵は違うカードだ。カード毎に2つの情報があるので、人間の処理能力を超えそうな情報量を手番で処理しなくてはならない。当然ダウンタイムは長くなる。しかしEvolutionのパブリッシャーが(以下略)。



というわけで特に後半は地獄ロードを覚悟したが、どれも肩すかしなほどに十分遊べるもので、歴史は常に進歩するものなのだなあと、私たちは感慨にふけるのだった。まる。

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