2012年2月26日日曜日

怪ゲーム会その2 ルパン三世 他

本日のメインディッシュ、ルパン三世ボードゲームLupin the 3rd)。



エッセン2011で発表。パブリッシャーはイタリアのGhenos Gamesである。発表時、なんでイタリアがルパンなのかと(一部で)話題に上ったのも記憶に新しい。デザイナーはPierluigi Frumusa。これが処女作であるようだ。


ルパンファンとしては買わねばならんと、ルールが発表されると同時に読んでいたのだが、余りの読みにくさとキャラゲーとは思えぬ複雑ルールに怖気をなし、以後脳裏から離れていったこのゲーム。まさかやれる日がくるとは、全く神に感謝すべきであろう。


さて、このゲームのルールは読みにくい。というか読みにくい以前に意味不明な部分が散見されるし、曖昧な箇所など枚挙に暇がない。たぶん原文のイタリア語ならまだマシなのだろうが、英文はどうしようもないレベルである。そして日本語訳もまた、当然ながらどうしようもないことに相成っている。恐らく半分くらいはルール読解の段階で挫折するだろう。


その労苦を乗り越えた者にはご褒美がある。恐らくこのデザイナーは、本当にルパンが好きなのだろう。特殊カードの絵はすべて新ルパンからとられているし、カード名もまたしかり、カード内容もニヤリとさせられるものばかりだ。まさかイタリアのゲームで「次元の帽子がずれたから命中率低下」なんてカードを見ることになるなんて。惜しいのはカード訳で、特に不二子の台詞が全く不二子らしくない。


しかしこのゲームで褒められるところはこのカードくらいしかない。本当はカードにしたって、マニュアルにながながと各カードの使用法が書かれている時点で却下ものである。売りにしているフィギュアのできも散々たるもので、とても鑑賞に耐えるものではない。


ゲーム内容は詳説しない。要は逆スコットランドヤードである。ルパン側は銭形の警備をすり抜けてお宝を盗み、逃走するのが目的。銭形は制限時間内に一人でもボード上から逃げ出させなければ勝利。ルパン側は銭形プレイヤーからは通常は見えないのだが、視線チェックの結果見えることがある。おお、視線チェック。警官十人分の視線チェック。煩雑すぎるだろうこれは。


そう、このゲームは煩雑すぎる。煩雑で良いゲームは腐るほどある。このゲームがきついのは
・煩雑さのせいでキャラゲーの範疇を大幅に逸脱している。
・煩雑さがリアリティ増加等のプラス効果をもたらしていない。
の二点だ。前者はまだいいだろう。キャラゲーを求めた規範批評でしかないとも言える。しかし曖昧模糊ルールで煩雑さばかり極められては、なにをやっているのかよくわからない。


皆が自分のしていることに確信がもてなくなり、かくして心が折れていく。唯一の救いは、十三ターンやれば確実に終わることだけ。実プレイ時間は一時間ほど、しかし疲労感は半端無かった。




少しばかり擁護しておくと、面白そうな部分はいろいろあるのである。最初のアイテム分配(制限された所持金でアイテムを買い、仲間に分配する)や不二子の裏切り要素等がそれだ。しかしそれを楽しむにはあまりにも毒が強すぎる。誰かこの毒を薄めてはくれないか。遊びやすいバージョンをつくってはくれないか。一緒にプレイした他の人は、もはやこのゲームをやる気はないだろう。しかし私はルパンが好きなのだ。






アドベンチャラーズ:ホルスのピラミッドThe Adventurers: The Pyramid of Horus




インディ・ジョーンズとかトゥームレイダーとか、そういうゲーム。ピラミッドの出口が落石で塞がれてしまう前に、宝を集めて脱出するゲーム。一番集めたプレイヤーが勝利。


みなが奇跡的な引きを見せ、あっという間にピラミッドが塞がれてしまい全員敗北。見事なまでに盛り上がらなかった。「行くか行かざるか」のスリルを感じさせたいのなら、落石位置が完全ランダムで決まるというのはさすがによろしくないだろう、というのを示すためにプレイしたようなもの。逆方向に奇跡的な引きだったのなら、たいそう盛り上がったことだろうが。いずれにせよそこは最も計算して欲しいところで、パンデミック以降にこれはない。




オリンピークOlymPeak




イスラエルの新興パブリッシャー、Toy Smartの2011年作品。ヘブライ語のルールなんて初めて見ました。2011年5月の段階で、これに目をつけてルールを訳す人も人だし、それを見てイスラエルからゲームを輸入する人も人である。……私は後ろからついていくだけです。


要は競馬ゲームである。ゲームの最初に一位と二位を予想しておき、あとはカードプレイでなんとかそいつらを一位にしようとがんばるのだ。開始時にラウンド数を決めるのは意味がないんじゃないかとか、開始時の手札で予想しろというのは無理がありすぎるだろとか、一人で応援するハメになったらそいつはもうほぼ絶対上位にはならないだろうとか、いろいろと粗はあるのだが、しかしデッドヒート時には考えどころも相当あるし、今日やったなかで最も「ゲームらしいゲーム」であったことは間違いない。




木こりの達人Toc Toc Woodman




R&Rでやるときの〆はこれで決まり。疲弊しきった心身を癒してくれる魔法ゲームである。「黄金の斧」拡張も実に欲しい。




こうして怪ゲームの会は終わった。つまらなかった? とんでもない、こんな楽しいゲーム会は滅多にあるものではない。だけど奇食ばかりでは栄養が偏るから、こういうのは一年に数回程度がちょうど良いんだろうね。

0 件のコメント:

コメントを投稿