2012年10月31日水曜日

クラッシュオブカルチャー

クラッシュオブカルチャー(Clash of Cultures





エッセン2012の「個人的」最注目作。ドイツまでアメゲーを買いにいった馬鹿なニンゲンです。

デザイナーは「海賊と商人」のChris Quilliams、パブリッシャーは同じくZ-MAN。内容は鉄器時代までのCivilization系で、公称プレイ時間は240分。ギークな方たちの間でも好むひとが多いのが「中量級」Civ.ゲームだということもあり、BGGでは発売前からけっこうな注目を集めていた(この種のゲームは4時間でも中量級なのですね)。

わたしもこの手のゲームは大好きで、当然チェックしていたし、事前にルールも読んだし、プレオーダーもした(なんと80ドルだ)。しかしルール読みの時点で若干の不安があったのである。なぜって、あまりにもすらすらと読めすぎて、全く意外性がないのだ。それはつまり、このゲームの売り、他を差し置いてもこれをやろうじゃないかという気にさせるような個性がないことを意味する。


しかしゲームはやってみないとわからない。それにこの箱絵、じつに良いではないか。まさに「文化の衝突」である。ぞくっとくるではないか。というわけでナガミネさん、たむらさん、つなきさんと。

都市1つと開拓民1人を持ってゲーム開始。

インストは30分で終わってしまった。この手のゲームに慣れている人なら、ほんとうにすんなりと飲み込めてしまう。

勝利条件はゲーム終了時に最多得点をもっていること。点は自分の都市に建てた建物から得られる。建物は数種類あるが、どれも1つにつき1点。その他に目標カードというものがあり、毎ラウンド1枚ずつドローする。そこにはゲーム中に達成すべき目標が書かれていて、達成したら公開する。1枚につき2点。それと、建てるのに相当の資源が必要なワンダーがある。1枚5点。

目標カード。上下のどちらかを達成すれば2点。

ゲーム終了までのラウンド数は6ラウンドと決まっている。1ラウンドの各プレイヤーの手番は3回ずつ、1手番で3アクション。つまりゲーム終了時までのプレイヤー1人のアクション数は54回だ。なんて長さだ、と思うかも知れないが、アクション1つ1つは細分化されている(これによってダウンタイムを抑えている)ので、むしろやりたいことの多さに比してアクション数が全く足りない感じだ。

サマリーボード。わかりやすい。

1アクションでできることは「進歩」(いわゆるテクノロジー)開発、都市設立、ユニット移動、人心慰撫、文化影響、都市アクションの5つ。都市アクションとは自分の所持する都市1つを選んで行うアクションで、資源採集、ユニット作成、建築のどれかが行える。1手番で同じアクションをどれだけ行なっても構わないが、都市アクションは少々特殊で、同一手番で同一都市を複数回アクティベートすると、その度ごとに住民の不満が増していく。人心状態は「満足」「普通」「怒り」の3段階で、怒りに陥った都市は1手番で1回の都市アクションしか行えなくなってしまうし、都市サイズ(後述)は1として扱う。これを回復するのが「人心慰撫」アクションだ。

都市サイズとはその都市に建てられている建物数のことで、都市設立当初は家が1個だけなのでサイズ1だ。これが大きいと1アクションで収集できる資源数や、買えるユニット数が上がる。家以外の建物は港、神殿、砦、学院の4つ。同一都市に同一建物を2つ以上建てられないので、都市のサイズ上限は5である。

他に毎ラウンドもらえるアクションカードがある。これはアクションとして使うものもあれば、フリーアクションとして使えるものもある。

アクションカード。下部は戦闘時使用の効果。

3手番ずつ行うと1ラウンド終了。ここでステータスフェイズというものがあり、各プレイヤーは達成した目標カードを公開したり、無料で進歩を開発したり、スタートプレイヤーが変わったりする。

個人ボード。全進歩が一覧できる。

「進歩」はプレイヤーボードにすべて記されており、開発したら各マスにキューブを置く。全進歩は12の分野にわかれていて、ある分野の進歩を開発するときは、1番上列のものをまず開発しなければならない。1番上の進歩があれば、あとはその分野のどれを開発してもよい。政治体制の進歩のみ特殊で、同時にとれる進歩はどれか1分野に限定される。たとえば民主制分野の進歩を持つプレイヤーが専制に移行する場合、民主制のキューブをすべて専制に移動する。


ゲーム開始直後は、みなが都市を建てることになるだろう。というのもプレイヤーの持てる都市サイズの上限は、そのプレイヤーの持つ都市数と同数に制限されるからだ。都市を2個にしてやっと、都市のサイズを2にできるわけだ。

というわけでみながいそいそと都市を1つ2つと増やすことに専念し、世界は全く広がる気配を見せなかった。ゲームマップはヘクスが4つつながったタイルがセットアップ時に裏向きに配置され、ユニットが入ると同時に表向けられる。

しかしさすがにタイル1枚では手狭だし、都市がくっつきあっていると資源収集の面であまりいいことがない。隣のタイルに開拓民を移動させる。と、蛮族が現れた。蛮族は肥沃な土地を多く含むタイルには必ず登場し、イベントやアクションカード効果によって数を増やしたり襲ってきたりする。ゲーム開始時は兵士を1人も持っていないので、かなり危うい状態だ。

兵士をつくって蛮族を攻撃する。戦闘ルールは単純で、1ユニットごとにダイスを1個ふって、合計を5で割った数分だけ相手ユニットを減らす。他にアクションカードを戦闘カードとして使える。戦闘後、敵都市に自分のユニットしかなければそこを占領し、自分のものにできる。これは対蛮族でも同じで、蛮族の家を奪える。



そうこうしているうちにすでに2ラウンドが過ぎた。いにしえのときの流れはたゆたうように緩慢として、すでにかなりの進歩があるが、効果はさほど強くはない。しかしそこに容赦なくイベントがおそってくる。進歩を開発するとワンダー建築や文化影響アクションに使用する文化トークン、および人心慰撫に使うムードトークンの所持上限数が増えるのだが、この増加によってイベントが発動するのだ。そしてこのイベント、7割くらいはろくなことがおこらない。蛮族がおそってきたり都市サイズが下がったり住民が怒り出したりする。しかし2金もらえるだけ、なんてのもあって、完全に引き運だ。

引き運といえばアクションカードもそうで、むしろこちらのほうがひどいかも知れない。他プレイヤーの進歩を無償で、しかもノーアクションでコピーするという凶悪カードもあれば、くその役にも立たないカードもある。進歩コピーのカードを序盤で手に入れれば相当なアドバンテージを得るだろう。

世界が見えはじめた。船はお金も稼げて便利。

中盤を迎え、さすがに世界がその姿を現しだした。この世界は海洋で分断されており、私の地はまさに辺境といっていい。しかしこれは良いことで、敵の軍勢におびえることなくまったりと都市をつくっていける。

そしてこのころから進歩コンボが回りだしてなにかすごいことに……、ならなかった。やはり青銅器から鉄器時代の進歩はちまちまとしており、もう名前を出してしまうがFFGのSid Meier's Civilizationの拡大再生産ぶりに比較すると、じつにとろくさい感じである。序盤と比して、やっていることがそう変わっている気がしない。「進歩」をあまり感じないのだ。

とり方が下手ってのもあるだろうが、これだけとっても地味な発展感。

ときは終盤となり、みながワンダーを建て始める。わたしは相変わらず辺境で平和国家運営に勤しんでいたが、たむら国は軍拡を選択、最強武器・鉄器を手に入れた。そして最終2ラウンドで周辺国家を蹂躙しはじめた。都市が2つ、堕ちた。おお恐ろしい。

建てるのが大変なワンダー。名前が実にそっけない。

軍事的に立ち向かえない相手から点を奪うために、「文化影響」アクションというものがある。自分の都市サイズ以内の距離の相手都市を指定し、ダイスロールに成功すれば(文化トークンによる修正有り)、その都市の相手建物1つを自分のものにできる。しかしこれはゲーム中は相手の建物として扱い、なんら機能的制約を受けない。あくまでもゲーム終了時にこちらの点として換算するだけなのだ。しかも1手番で1回しか成功できない。1アクション(以上)を消費して、敵から1点を奪い、こちらは1点を得る。しかし建物の機能は敵のもの。これじゃあ自分の建物を建てた方がいいんじゃないの? となるだろう。実際、最終盤に入るまで、だれもこのアクションをとらなかった。


ゲーム終了時の得点が見えすぎるという問題もある。最終ラウンドに後手番で、勝利に絡んでいない人は、望む望まざるに関わらずキングメイク的行動をとらざるを得ない。一応最終ラウンドが終わった後に達成目標カード公開があるので、少しは緩和されはするのだが。そうそう、この目標カードの引き運もかなりのものだ。すべて一律2点なのに、達成難度が10倍くらい違う。最終得点は34対33だかでたむらさん1位、わたしが2位だった(蹂躙されなかっただけ)が、この程度しか稼げないゲームで、得点に関わるカードが引き運に相当に依存するというのは、はたしてどうなのか。

終了時。地図にまだ空白地が。

終了後のみなの感想は、「もっさりしたCivilization」で一致した。文明が発展していくドライブ感はほとんどなく、古代世界の地味な進歩をちまちま行いつつ、天変地異(カード)の引き運に苦しめられるゲームである。はっきりいって、これをやるならFFGCiv.をやる。もしあなたがFFGCiv.をやったことがなくてこれをやろうというのなら、絶対におすすめしない。FFGCiv.はもう何度もやりました。食傷しました。文明ゲームならどんなのでも大好きです。珍味もいいじゃない。というのなら、1度試してみる価値は、ないわけではない。相当にこき下ろしたが、Through the AgesやFFGCiv.という傑作が同時代にあるからいけないのであって、虚心に単体として見れば、そう捨てたものではない。各進歩の連関に慣れれば、そこまで派手ではないだろうが、それでもある程度の発展感は味わえるはずだ。イベントカードを抜くというオプションルールもちゃんとある。


そう、なのでわたしは2回目をやりたいのです。つきあってくれるひとを募集しておりますよ。

2 件のコメント:

  1. 2回目、おつきあいしますよー。

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  2. ありがとうございます。メンバーを集めないとですね。

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