2013年2月6日水曜日

ビッグバントーナメント 第37夜

ちんたらしていると第38夜が来てしまうので、慌ててこれを書くのだ。

いつもの通り詳しくは主催者様のここを参照。
ビッグバン・トーナメント第三十七夜~2013冬

ライズオアフォール(Rise or Fall)


要は多人数じゃんけんのようなもの。各プレイヤーは他陣営色+防御+得点のカードを持ち、1枚をプロットして同時公開する。他陣営色を出して、相手が防御していなかったら相手からチップをもらえる、得点カードを自分だけが出していたらチップをストックからもらえる等々。最後の2陣営になったらチップを公開し、多い方が勝利。単純にもほどがあるほどに単純だが、回を重ねるにつれて少しは文脈や政治じみたものが滲み出てくる。

そしてなによりテーマが良い。各陣営はジョック(いわゆるスポーツマンの好青年)とかクイーンビー(上位チア)とかパンクとかナードとかゴスとかで、こいつらがスクールカーストの上位を目指すというのが背景なのだ。といってもナードならこんな能力があるぜとかは一切なく、皆が同じカードを出すだけ。潔い。

バカゲーの見本というべき簡素なつくりに職人芸を見た逸品。アメリカから買うときの送料合わせにどうぞ。


ガントレットオブフールズ(Gauntlet of Fools)


ヴァッカリーノの裏の顔、いやこちらが表の顔か。DominionやKingdom Builderではなく、NefariousやInfiltrationの路線だ。

まずテーマが良い(BGGにあるヴァッカリーノ自身の投稿によると、テーマ先行のようだ)。うぬぼれた冒険者たちが「俺はこんなハンデを負ってもあんな迷宮くらい余裕だぜ」といいつつ手枷足枷を自らに加えて迷宮に突撃し、哀れ全員が屍となる。しかし最も多くの金を稼いだものは、その栄光がしばし語り継がれるであろう、というような。素晴らしい。

ゲームは2つのフェイズに分かれ、前半では各プレイヤーが担当冒険者を決定する。冒険者はプレイヤーと同じ数だけ場に出、それぞれに武器カードがランダムで1枚ずつ与えられる。この組み合わせを見て強そうなペアを取っていくわけだが、他プレイヤーがすでに取ったものを奪ってもよい。しかしその場合、「うぬぼれ」カードを奪う冒険者に付け加えなければならないのだ。「俺は片足とびでも余裕だぜ」とか言いながら。こうして人気の高い冒険者には大量のハンデすなわちうぬぼれが溜まっていき、鼻高々状態となる。いかにも慢心した人気者という感じだ。しかしそこまでくると、まだ場に残るうぬぼれなど全くない初々しい、しかし弱っちい冒険者にもそろそろ目が向いてくる。こうして全員の担当が決まったら、ゲームは第2フェイズへと移る。


かつてPC98時代、マッチメーカーというソフトがあった。各プレイヤーが自分の機体のデータをつくり、それを闘わせるというもの。Windows98のころ(確か)には、グラフでボクシングというゲームがあった。ランダム生成されるボクサーを使用し、世界チャンプを目指すもの。iOSにはゆけ!勇者というゲームがある。装備を整えてダンジョンに勇者を送り出す。

これらに共通するのは、本番は自動処理だということだ。プレイヤーにできるのは準備だけで、あとはコンピュータの処理を見守るだけ。これはデジタルだからこそできるものだと、普通はそう思われている。一般にボードゲームで多くの自動処理をさせることは嫌われがちである。その間はプレイヤーによる判断が排除されるからだ。

だがこのガントレットオブフールズは、自分の選んだ冒険者がダンジョンに潜ってからは、つまり第2フェイズに移ってからは、ほとんどが自動処理なのだ。デッキからめくられるモンスターに対処していくのだが、自由度はほぼないと言える。特殊能力の使いどころに判断が求められるくらいだ。

しかし、この冒険者をただ「見守る」感覚がなんとも言えなく良く、映画の後日談を観ているような、そんな気分になる。だがこの良いというのはコンピュータゲームの文脈に立った上で「良い」と感じているのかも知れず、合わないひとには強烈なまでに合わないだろうことはPG:DBを見ればわかる。なんにせよ、試してみる価値はある。ただテキスト確認の必要上、6人はちょっと多いかも知れない。


エレメンツ(Elements)


カサソラ・メルクル1997年作。実はかなり繊細なゲームであり、それを味わうには前2本の荒々しさがマイナスに働いたと言える、かも。

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