2013年2月5日火曜日

指輪戦争会

指輪戦争(War of the Ring)



私はゲームに点数をつけるということをほとんどしない。理由は単純にめんどくさいからだが、加えてどうせやるからには整合性をもたせたいなどという自己満欲求が働いて、そうなると相対評価では正規分布を描くように採点していきたいし、絶対評価にするなら評価軸を定めておきたいし等々でめんどくささが倍増し、もうどうでも良くなるというわけだ。

もし私が点数をつけることに勤勉であったなら、このゲームは間違いなく数少ない10点ゲームの1つとなるだろう。10点というのはなにか特別で、数直線を超えたところにあるような感じがするものだが(虚数のようなものか)、つまり個人的な感情や感傷や感動が含意されてはじめて10点になるのではないかと、点数付けなどしないくせに思うのだが、そういう意味でもこれは私にとって10点ゲームなのだ。


プレイヤー2人(3人以上でもできるがそれは蛇足だ。このゲームはほぼ2人専用ゲームである)はサウロン側と仲間側に分かれ、異なる勝利条件を目指す。特徴的なのはこの勝利条件が各々2つずつあることだ。サウロン側は指輪所持者を堕落させるか、相手支配地を10点分占領する。仲間側は指輪をはるばるモルドールまで持って行き火口に投げ捨てるか、相手支配地を4点分占領する。どちらに力を割くかはプレイヤー任せだが、一方に注力しすぎると片方が疎かになってやられてしまう。このリソース配分の妙が言いようもなく面白い。最終盤では危険を予知しながらもある種の賭けに出ざるを得ない状況になりがちで、そのスリリングさはまさに指輪物語を地でいっており、これほどテーマとシステムが合致したゲームもそうはないだろう。

行動のリソース配分は完全に自由意志で行えるものではなく、毎ターン両プレイヤーはダイスを複数個振り、それを手番に1個ずつ消費してアクションしていく。当然出目に対応したアクションしか行えないので、相手支配地を攻め落としたくとも、その目が出ていなければ行動できない。

しかしダイス任せの運ゲーとも言い難い。全体的なリソース配分(大局観)を、現在状況と自分および相手の出目を考慮しつつ変化させていく。現在の出目だけを考えていては勝てないし、出目を無視していても、もちろん勝てない。タクティクスとストラテジーの噛み合いが、このメカニクスのおかげで十全に機能している。


だがこのゲームは敷居が高い。理由としては
・値段が高い 確かにその通りだ。だが凡百なゲームを2本買うよりは、もし相手がいればの話だが、間違いなくこのゲームは満足感を与えてくれる。
・時間がかかる これについてはプレイヤーの環境によるとしか言いようがない。
・指輪物語を読んでないと辛いのでは? そんなことはない。映画三部作を観ているだけで十分に楽しめる。もし小説まで読んでいたなら、より強く楽しめることは確実だろうけれども。

それに加えて
・フィギュアの視認性が悪いため準備に時間がかかる。
1プレイヤーのフィギュアはほぼ単色であり、このため形の似ているゴンドールとローハンの兵士などは恐ろしく見分けがつき難い。これで初プレイだったら、準備に1時間かかると見ても大げさではない。解決するには国別着色が手っ取り早いが、上写真のように付箋を貼るという力技でも、プレイアビリティは格段に上がる。雰囲気は台無しかもしれないけれど。国別着色の写真を下にあげておく。BGGには美しく彩色した写真が山のようにある。



というわけで徹夜明けナガミネさんと。付箋を貼ってきてくれたのはナガミネさんであり、これだけでも相当大変だっただろうことは想像に難くない。われわれはこんなのカウンターでいいじゃんと言い切ってしまうほどのミニチュア不感症であり、大事なのはプレイアビリティなのだ。

使用したのはAres Gamesの第2版。ルールとカードに少し修正が入っている。そして第2版で使える初の拡張、Lords of Middle-Earthを投入した。これによってガラドリエルやエルロンドが登場する。サウロン側にとってはついにバルログが投入できるのが嬉しいところだろう。

しかしダイスと選択肢も増えるので、ゲーム時間も少しばかり増加すると思われる。実際とくに長考もなかったが、以前は6時間かからずに2度回せた記憶があり(隣卓のシドマイヤーズ・シヴィライゼーションとほぼ同時間で)、今回は準備30分、実プレイ4時間半、片付け15分というところ。

指輪の仲間側を担当。新キャラのガラドリエルとエルロンドが強力だったのですぐさま投入。これでエルフ支配地は落ちにくくなる。また能力違いの灰色ガンダルフも投入し、なかなか戦争をしたがらない北方民を一気に臨戦状態に持っていく。これでサウロン支配下の北方地域を叩き、軍事プレッシャーをかけるつもり。

だが流石に対応され、北部に軍勢が次々と投入される。こうなると防戦一方になるしかなく、方針転換して指輪所持者を進めていく。ストライダーをゴンドールに送り込んでアラゴルン化し、ローハンが落ちるのは仕方がないが、ゴンドールで激戦が行われている間に指輪を溶かす心づもりだ。

サウロン側の南方侵攻が遅れたため(加えて今回は両者ともに出目が酷く、攻めこんでも敗退というのが多かった)、フロドはかなりあっさりとモルドールへとたどりついたが、ここからサウロンの目タイルの猛攻をくらい、仲間が続々と犠牲になって離脱していく。火口に投げ込む寸前にはもはやメリーくんしか伴はおらず、目タイルを引かれたら「指輪は僕のものだ」で敗北となる。確率的には恐らく8割は勝てるだろうということで突っ込んだが、ここで完璧を期して軍事行動を行い、相手に次ターン以降そちらへリソースも割かせるというのはあったのかも知れない。だが防御だけを考えて陣営を組んでいたので、泥沼化する可能性の方が大きかっただろう。

そして目タイルはひかれず、勝利。しかしゲームは最終結果よりも過程である。拙いことばでなんだが、めちゃくちゃ面白かった。4時間半の間、これだけ没頭できる経験など、そう何度もできるものではない。ありがとうございました。次は陣営を交代して、またやりましょう。

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