2013年2月28日木曜日

Gladiatori会

ふうかさん、かろくさんと。いつも様々なゲームをプレイできるので、実にありがたいのです。


剣闘士(Gladiatori)



イタリア・ロシアゲーム会で私の準備が間に合わなかったので次回まわしとなった作品。イタリアはGiochix.itの2012年新作で、デザイナーはRio de la PlataやThe Forgotten PlanetのMichele Quondam。

題名のとおりプレイヤーは剣闘士となって殺しあうのだが、自分のキャラクター能力はカードデッキからなっており、手番でカードをプレイしてボード上のフィギュアを行動させるというちょっとアメゲーぽいシステムを採用している。キャラがデッキということは当然プレイ前のデッキ構築要素があるわけで、これもまたアメリカ的だ。もともとこのデザイナーはOne More Barrelに端的に見られるようにいわゆるハイブリッド的な特徴を持っていたのだが、ここんとこユーロに舵をきっていた印象があった。それがまた逆方向にきられたようだ。

キャラ別デッキを持って戦うとなると特殊能力ばりばりの必殺技の応酬を予感させるが、1戦やってみた感じはもっと地味で繊細で、勝利点をこつこつと積み重ねていく感じだ。明らかにアメゲー文脈の系譜に連なるものでありながら、プレイ感はそのステレオタイプから乖離している。ヌーヴェルヴァーグがアメリカB級映画の影響を受けながらも、その文法摂取においてズレが生じたことにより新たな映像が生み出されたように、というのは言い過ぎだろうが、恐らく魅力的なゲームはこうしたズレが顕著な場所から出てくるのだろうし、だからこそドイツでもアメリカでもないイタリアやロシアやポルトガルやフィンランドが「面白い」のだろう。もちろんゲーム自体の完成度は別であり、あくまで可能性の話にとどまるけれども。しかし魅力とは可能性のことなのだ。


怪しげな能書きはこのへんにしてゲーム内容に移ろう。前述のとおり各キャラはカードデッキで構成される。ターン最初にプレイヤーたちは自分のキャラデッキから任意枚数を選択し手札とする。残ったデッキは山札として置いておくのだが、戦闘で自キャラがダメージを受けた場合、この山札から受けたダメージに相当するカードを除外しなければならない。山札が尽きれば当然死亡=敗北である。大量のカードを手札にすれば戦闘力は強くなるがダメージには脆弱となってしまうわけで、この基本メカニクスを聞くだけでなんか面白そうだと思えるんじゃないだろうか。私は結構わくわくした。

カード内容の説明等は煩瑣になるので避けるが、基本は4種類あるアクションカードから1枚をプレイしてアクションを行う、また攻撃されたときもアクションカードを1枚プレイしてリアクションを行う。どちらの場合も追加カードを任意枚数出すことが可能で、これによって攻撃力/防御力を高めたり、特殊能力を発動させたりする。そしてプレイは基本的に裏向きであり、カード相性などもあるので読み合い要素が強い。

カードにテキストはなくアイコンだけだが、アイコンの意味はルールを見ないと全くわからない。また、とるアクションによって攻撃力増幅の方法が異なったり、あるアクションでは回復不可だが別のアクションでは回復可能なステータスがあったり(これだけなら普通だが、とにかく解り難いのだ)、口頭インストだけでは記憶不可能なのでサマリー必須だ。逆を言えばサマリーさえあればなんとかなるとも言えるのだけど。どうも変に複雑で、その複雑さがゲームのなにに貢献しているのかが解りづらいため、デベロップ不足なのではないかと言いたくもなるのだが、前提としてやり込みゲームであるのは明らかなので、何度もこなせばまた違ったものが見えてくるのかも知れない。

ゲームは6ターンで終わり、勝利点勝負になる。もしくは自分以外の全員を殺せばそこで勝ちだ。勝利点は「攻撃すること」自体で得られ、その攻撃でダメージを与えればその分の勝利点ももらえる。特徴的なのが「誇り高い戦闘」がテーマとなっていることで、後ろから攻撃したり敵から逃げたりなどすると勝利点がひかれてしまう。後ろから攻撃すればダメージが通りやすくなるので、これは当然「卑怯者プレイで6ラウンド以内にぶっ殺す」か「正統派プレイで生き残り、勝利点で勝つ」かの2択ゲームではないかと思ったのだが、卑怯技を駆使しても1人も殺せなかった。正統派の削り合いを地味に繰り返しながら、勝利点レースを行うのが主眼なのだろう。


繰り返すがこれは「やり込み」を前提としているゲームだし、最も機能するのは2陣営戦だろうので、どうにも価値的なことは言いづらいのだが、第一印象を率直に述べれば、BGGの評価コメントのことばを借りて、"Good Concept, Bad Mechanic"と言わざるを得ない。だが一番の問題は、このマニアックと言えるゲームをやり込むようなプレイグループが日本のどこに存在するのかという、極めてエージェンシャルな問題だろう。


ミュータント・ミープルズ(Mutant Meeples)


基本はハイパーロボット。だがロボットならぬミープルに「1歩斜め移動できる」とか「2マスジャンプできる」だとかの特殊能力を加えている。おまけに勝利点を重ねるごとに使えるミープルが減っていくという仕様のおかげで、上級者と初級者とが同時にパーティゲーム的に楽しめる作品となっている。私のようなハイパーロボット嫌いのひとにこそおすすめできるが、つまりは負けていたらハイパーリーチ棒や牌交換が得られる麻雀のようなものなので、ガチなひとは避けたほうがよろしいかも。


スペース・ステーション(Space Station)


スウェーデンのFryxGamesのエッセン2011作品。これはコンポーネントを改良したエッセン2012発売の第2版。

5色のカードを自分の場に並べて宇宙基地をつくっていく。もちろんカードには特殊能力があり、建設(プレイ)費を安くしたり、ワーカーを生産したり、ワーカーを置くことでなにごとかが行えたりする。使い捨てのイベントカードもあり、これは攻撃色が強い。各ラウンド終了時、各色プレイ枚数で1位のプレイヤーに勝利点が与えられる。

というわけで結構よくあるタイプのゲームではあるのだが、コンパクトにまとまっていてサクっと終わるので、楽しいものに仕上がっている。直接攻撃が多くマルチ要素が強いところは好みが分かれるだろうが、私はこの日一番気に入った。あれだ、ドゥーム向きだ、これは。

添付の日本語訳には誤訳があり、「勝利点は各色1位がその枚数分」ではなく「各色1位に1点ずつ、最終ラウンドのみ2点ずつ」なのでご注意。


参った、侵略だ!(Oh no...Invasion!!!)


絵がかわいい協力ゲームである。難度はかなり低めで、初回でクリアできた。……他に書くことが思い浮かばない。



なんか今回の感想はネガティブ寄りな気がするが、プレイ中はどれも実に楽しかったのだ。ゲームは面子というのは「それを言っちゃあおしめえよ」なのだが、しかしやはり真実なのだよなあ。またよろしくお願いします。

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